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□翡翠の薔薇 19
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がりがりがりがり・・・





静かな部屋に響くペンを走らせる音






がりがりがりがりがりがり・・






壁に立て掛けた巨大な紙に必死にペンを動かした






「………」





普段は友人にコンセントサイズと言われる程の小さな絵しか描いた事ないから正直、この巨大な紙に絵を描くなんて地獄の様だ




でもやるしかない




これで、少しでも望みがあるのならば…





















ーーー少し前ーーー








「…はあ?」





言ってる意味がわからずつい心の疑問の声が出てしまった





「空間と絵画はふたつでひとつ…?



…なんじゃこの中二病的な文章は?」





他のページを見てみるとやはり、あの本だった



どこかに置いて来てしまったはずなのに何故かこの本棚にあった



それもさっきの文の意味も不思議…



とにかく謎めいているとしか言われたことのないワタシでも、謎が多すぎて対処できなくなってきたのが現実である






「……………ふたつでひとつ………意味と主張があって…存在、なのである……?


…………んん???」





きっと何かのヒントなのだろう事は今までこの本が助けてくれた経験から間違いないだろう



じゃあ何に対してのヒントだこれ?





「……わかんね☆」




意味不明過ぎるでしょ?



本来人形がたくさんある部屋が何もない部屋に変わってて更に寝起きから冷え殺されかけてるし…



そんな状況でこんな中二病的な文を解読しろだなんて普通無理!(キリッ





「…まあ、とりあえずぅ〜………」





考えてみるしかない




今はコレが進むヒントなのだから




「空間と絵画はふたつでひとつ、ねぇ…」





空間と絵画…




この部屋が空間だと置き換えて



絵画はこの部屋の本来ウサギか青い人形が描かれているはずのバカでかい白紙だとして…




「…この部屋とあの白紙の絵画はふたつでひとつ?」




意味不明、だ



やっぱわかんねぇ




次いくか次




”絵画ひとつだけでは意味しか生ます、空間ひとつだけでは主張しか生まない”かぁ…





「あの白紙の絵画だけでは意味しかなくて?この部屋ひとつだけだと主張しかない?

…ってこと?」





待て、もっとわからん(焦



次でわかるかな…?




”ふたつあり、ひとつになってこそ存在できるのである”





「この部屋と白紙の絵画ふたつあって、………ひとつになってこそ?

……揃ってあればいいって事かな?

…そのふたつがあってこそ存在できるのである?」








・・・詰んだ(はあと)





「最初から最後まで意味不明なんだけど……とりあえず今は温まりたいだけなのにこんなに難しい謎出す?」




鬼じゃん;





「……もう少し考えればみえてくるかな…」




今諦めたってギャリーは起きてくれない



……早くしないと…




「…この空間とか絵画ってのはこの部屋と白紙の絵画の事であってると思う

で、それぞれ単体だけだと何もできなくて…ふたつ揃えば何かができる………



ってワケ?


・・・わかんない☆」




……でも何かみえそうだな…





「何かがひっかかる……何だ?」




本来ゲームと同じであればこの部屋は青い人形かウサギだらけの部屋になるワケさ?



不気味な色の壁紙にこの机とか椅子の数、位置は何も変わっていない




唯一違うのはバカでかい絵画に何も描かれていないこと



それとこの部屋にも何も描かれてない絵画と同じように何もない事




「…………もしかして」




この変わってるのがふたつだけ、



その二つが揃って何かができる…





「答えはこの白紙か?」




”イヴ”とメアリーが見たこの部屋は可愛いウサギの絵にたくさんの可愛いウサギの人形…



ギャリーが見たのは不気味な人形の絵にびっしりと並んだ不気味な人形




「…今、必要としているものを描けばこの部屋に……」




やるしかない、善は急げってやつだ




バカでかい絵画を壁から剥がす




「………ぉ、もいっ…;」




見た目に反してなんて体重なんだ…;



ぬりかべ背負ってる気分…




「…デカすぎて置けん;」



床に置くにはデカすぎて近くで寝ているギャリーを下敷きにしてしまう為仕方なく壁に立て掛けた




「あっ、やべ…ここペンあったっけ?」






カラッ、




呟きに答えるかのように後ろで軽い物音がした



振り返ってみると黒のペンが転がっている





「…ラッキー?」




どこから出てきたか気になるけど今更そんな事でいちいち突っ込んでられない




ペンを握った手から血が垂れて床に落ちた





「…一応、汚さないようにしないと」









ーーーーーーー




そして今に至る




このバカでかい白紙にバカでかい暖炉の絵を描けば同じようにこの部屋にも暖炉が出てくるかもしれない




予想が合っていればこの絵に描いてあるものと同じものがこの部屋にあるんだと思う




「……どうか合っていてくれ、めんどいから」





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