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□翡翠の薔薇 17
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青も少し混ざった白い光が階段を水中のように照らす

足元の石造りの螺旋階段と鉄の手すりしかなく後は真っ暗だ

ブーツの音がやけに響く、寒気と冷や汗が止まらない



「…ど、どんな造りの塔なんだよっ」



小さく呟いた文句は周りの闇の中で響く




「っつーか、オレこれ(小さな光)以外何も知らねぇんだけど
…ツラっ!(焦
何これどうあいつと立ち向かうの? …愛と勇気があれば大丈夫みたいな? んなアン○ンマンルール通じるかっ
……でも何か魔術が使えないからって不利な事はないんじゃね?」




W彼も元は魔術の所有者でしたW


脳裏にふと浮かんだミランダの微笑み


「…不利かもっ!(泣笑
絶対オレよりRPG設定知ってるって!;
不利かもどころじゃねぇ不利だよっ、チートだハンデだ!(焦」




暗闇にひとり騒がしい声が響いて様々な言葉のエコーが作られ不協和音を奏でる

騒いだ自分の声に耳が痛くなる(←ただのアホ


「これじゃぁスライムにも勝てねぇ… Lev.1の無装備でボス戦って感じ?
ハハッ…ウケねぇwww(絶望」



怖さを紛らわす為に他の事を考えようと1人脳内パーティーテンションに なったのはいいものの…
絶望しか思い当たらない今はただの危ない人



※元から危ないキチガイ




言い切れない不安の目を手のひらへとうつす
青と白の水中模様を作る眩しい光は手の平でふよふよと浮いていた




「………なんかコピーとか作れないのかな」




この光を何個も作ることが出来れば階段の先へと飛ばして灯台みたいに照らせるのに…





「ちょっとした数だとそんなに明るくないよな…うん、よし」



妄想すれば何とか作れるでしょう(知らない


手のひらの青白い光を見つめ想像(妄想)に集中する


小さな赤色で金や蒼の宝石が埋め込まれた宝箱


鍵を開けると中から青白い光が真珠のようにポロポロと溢れる


ずっと溢れて止まることを知らずだんだんと勢いも溢れでる量も増えていく


やがて宝箱から光の滝ができ………




「……はっ⁉」



集中し過ぎて目的を忘れ話が逸れていっていたことに気づき慌てて我に返る


そしてやけに目の前が眩しいと気づく


見ると数え切れないほどの青白い光がふよふよと浮いている




「え、なんか……成功?(混乱」



あり得ない現象に頭が追いついていかず光に魅入っていた



「…へぇ」





ーーー・・カツン・・・




不意に響いた足音に肩がはねた


目の前の光の集団を暖簾ーのれんーのように上に退け階段の先を確認するがまだ何も見えない



「ぇ〜、やだなぁー…」



体を少し前のめりにして腕を大きくゆるく振る



「怖いなぁー」



するとと光の集団は下に向かっていった

一定の距離に一つずつ配置されて螺旋階段の先が青白く照らされる


その光の集団が階段を下りていきながら小さくなったころ、ようやく自分のおかしな行動に気が付いた



「………なんで知ってたの?」



こんなRPG設定何一つ知らないのに何であの光を先に飛ばすことができた?


自然と身体が動いていたあの時の自分が少しだけ恐ろしいと思った


「…まぁいいや」



…深く考えたくないし



手の平の一つの光をお供として連れ階段を下りる



そしてしばらく降りると外灯代わりの光に照らされた影が見えてきた


今は距離があるから小さく見えるだけのようだが子供じゃない



「……えっと…具合でも悪いのかな…?(汗」



勿論そんなものじゃないだろうとわかっている


遠くでも充分に見える



階段を這い上ってきていることくらい




「……………」




ーーーカツン・・・ カツン・・・




何コレどうすればいいの



武器は無し、防具も無し、素手で戦えるわけない


丸腰で敵が来るってどんな不運なんだよ…


特殊能力なんてこのふよふよと浮かぶ光しか作れないし作るにも考える(妄想する)時間が必要だし………


つまりは初心者もいいところのひよっこ



「………あ、」



何か武器になるものが欲しいと考えていたら先程ミランダに渡された時計を思い出した



ポケットはないからさらしにてきとうに挟んでいた懐中時計


青白い光に照らされて海の中に沈んでいるようだと思った



「…あなたの魔術の種類にはコレがいいって……どう使うんですか?(切実」



もう一度懐中時計を詳しく調べてみる



普通より異様に長く感じられる鎖の先に武器として使われるような鋭い形のフック



「………これ、かなぁ?(汗」



見た感じではコレが一番武器として使えそうだが……



「…ぇ、えー;」



とりあえずどう使うかわからないが試しに本体を握ってぶんと一振り


緩やかな曲線を描いた鎖が数十段先の階段まで伸びる


そして螺旋階段に沿って丸く伸びていき…



ーーーグサリッ



鋭いフックが這い上ってきている影の手に深々と刺さった



「ぃぃいいいいいいい!?;」



狙っていなかったのに当たってしまったことに驚いたがそれより相手に刺さってしまったことに焦る


反射的に鎖を戻すように手を引くとてから抜けたフックが鎖に連れ戻される



「ぅわいぃぃっ;」



目の前にまで来た血まみれのフックに驚き本能的に触りたくないと避けた


手すりにカランと金属音を立て落ちたフック



「………ァレ、…え……どうしよう………当たっちゃった……当てる気なかったのに……(混乱」



鎖を引っ張り紅いフックを目の前で垂らす



「……え?………あんな長かったっけ…?」



普通より長く感じたがあそこまで届く長さじゃない鎖


「…………世の中、不思議がいっぱい…(混乱」
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