Pandora HeartsーLongー


□遡って…
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ケ「………ふぅ……」


時は午後9時頃、

シンクレア家の当主のいる部屋の扉を背後にため息を一つ吐いた



(…今日は騒がしかった………)



シンクレア家に仕える騎士ケビン=レグナードは今日の出来事について当主に報告し、

ついで"彼女"のこれからの事について話をしていた



だが、"彼女"はまだ〈得体の知れない人物〉


そう簡単に決まることじゃなく当主と他の目撃者と長々と話し合った結果
"彼女"が落ち着くまで滞在させる事にした



しかし、ここでも更に問題があった



シンクレア家の一人娘、"フラン"はあまり納得いかない様で
フランの傍にいつもいるケビンは困らされた



何せお嬢様は
"ここに置いて欲しい"


つまり、"姉として、養子に入れたい"ということである



もちろん、
"彼女"の情報が何一つない今は
屋敷内に突如現れた〈得体の知れない人物〉を保護している状況


彼女の立場からしてそれは不可能だ



(………少し、休もう)



ケビンは気分と共に気怠い足を自室の方向に向けた



(その前に、"彼女"の様子を見にいくか)



途中、報告で出て行く際に"彼女"に
「また夜に様子を見に来る」
と言ったことを思い出しそれを優先することにした


どちらにせよ、"彼女"が保護されている部屋までに自室の前を通るので
どうせなら自室に寄って紅茶を飲みながら少し休んで行ってもいいだろう



考え事にふけっていたせいか

はたまた疲れ過ぎたのか、

いつの間にか自分の部屋の近くに来ていた


紅茶の種類を考えながら自室に入り、ティーセットを用意する



ケ「…………」



そして、なにを思ったのか

"彼女"の分も紅茶を用意していた


それに本人が気付いたのはもう用意し終わった時



ケ「………疲れが出てきたか…」



独り言を呟くも、用意してしまったものは仕方ないので持って行くことにした


ケ「…どうせ持って行くんだ、甘いモノも少し持っていくか」



ついでに飴と今日の昼に作ったケーキを追加し、部屋を出た



コンコンコン、と軽く規則正しいノック音を鳴らし相手の返事を伺う




……………………




しかし、いくら待てど返事はおろか物音ひとつしない




ケ「……入るぞ」




一応声をかけ中に入る




ケ「………ん?」




部屋に明かりはなく、カーテンが開けたままの窓から差し込む月明かりが暗い部屋を薄く照していた



ティーセットを机に置きサイドテーブルの灯りをつける



「……んぅ〜…」




声が聞こえたのでケビンが視線を向けると"彼女"はベッドの上で丸まって寝ていた




(どうりで、気配が感じられないわけだ…)




さて、"彼女"の分のケーキと紅茶はどうしようか



そんな事を考えながらベッド脇の椅子に座り紅茶を入れた




ケ「…………」




飲んでいた紅茶を見ながらふと"彼女"が現れた時のことを思い出していた




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