Pandora HeartsーLongー


□IN THE DREAM
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真っ暗


自分の姿も確認出来ないくらいに



暗い




「……暗闇は苦手だ」



…クスクス……



「………ダレ?」



……クスクス…




誰が笑ってんの?



…クスクスクス………


「…………誰さ?」



……クスクス…クス………






ーーー止まった…?


⁇?『…あぁ、やっと来てくれたのね
待っていたわ』


声が聞こえて、ぼんやりと周りが明るくなった



「………(少女の声、人形だらけの部屋、テーブルとイス………お茶会用ねぇ…)


………アヴィスか」



⁇?『…クスくす………知ってるのね』


椅子の所がぼんやりと光り、人の形を成していく

光が収まると白いうさぎを抱いた純白の少女がいた


「こんにちわ、アヴィスの意思ーアリスー」


ア『…それも知ってたのね……くすくす…』



えぇ、知っていますとも…

………漫画でね…

しっかし、漫画とかアニメで見ても思ってたんだけど


生で見るとすっごいお美しい…!(←変態)


ア『ねぇ、あなたのお名前は?』


綺麗にくるりと一回りして、彼女はワタシに問いた




「………ぇ……」



しまった…

思い出せないんだった……


昔の記憶の一部と、名前…


…ケビンの時にも思い出せなかったんだ………

…あぁ、どうしよう



ア『…くすくす………思い出せないのね』


おぅふ、図星を突かれた


「…君こそ、よくご存知で」


ア『くすくす…
知っているわ、あなたが"何故思い出せない"のかもね』


「……何?」



あぁ、声のトーンが下がってしまった
でもそんなこと気にしてる場合じゃない




ア『あら、イヤだわ
そんなに怖い顔しないで』


真剣なこっちとは反対に彼女は妖しく口角を上げる


ア『あなたには特別に教えてあげる』



「……案外あっさりしてんな…」


ア『…クスクス……
でも、その代わりに私の願いを聞いてもらいたいの』


そう言うことか……



「….内容に応じる、先ずは話を聞かせてもらえる”かしら”?」



こちらも口角をあげわざと口調を変えて挑発

情報整理のためにもうまく彼女の機嫌をとらなければならない

だが、

アヴィスの意思ーアリスーの機嫌が悪くなると何が起こるかわからない、

もしそうなった時は90%の確率でこちらが不利になるだろう

なるべく機嫌を損なわせないようにしなければ………






ワタシは知っているよ、君が願うことはおそらくーーー







ア『くす…いいわ、お話ししましょう』


彼女は人形を棚に置くと、
両手を挙げた

ア『さぁさ、お茶会をしましょう!』


ぱさっ、と彼女の挙げた両手から綺麗な音を立てて手品のように赤い薔薇の花びらが舞った


すると、棚にいた人形達が歌いながら動き始める

「………(お茶会、ねぇ…)」


ア『まだ時間はあるのだからゆっくり話しましょう?』


そう話しかけてきた彼女はとても無邪気で、純粋で………

何か胸の奥が締め付けられた





(レヴィの企んだ実験ごときで地上で生まれるはずの二人がこんなことになっているなんて…

ビーラビットの力を持っているアリスならアヴィスから出られるけど………


アヴィスの意思と共にいるこの子は…



…何かワタシにできることはないだろうか?)




……胸が痛い、早く助けてあげたい
表情に出さないために右手を、固く握る


彼女に微笑みながら機嫌を取る


「…それじゃぁ、お言葉に甘えさせていただこう”かしら”」


この世界ーココーの礼儀に合わせて、自分の知っている限りの知識を引っ張り出し優雅にお辞儀をする


ア『……クスクス…紅茶はアールグレイでいいかしら?』


「喜んで、アールグレイは大好きよ、
チョコケーキ食べましょうよ?」


ア『ケーキも沢山あるわ!
あ、その前に着替えましょう!』



「…………は?」



いきなりの彼女の予想外の言葉に知識や礼儀など一気に吹っ飛んでいった


ア『せっかくのお茶会なんだもの!そのままの格好じゃ似合わないわ!』


言われたとおり、今の自分の格好はシンクレア家が貸してくれているのであろう、
白いワンピースの様な薄いネグリジェ姿だった



ア『こっちに来て!』



アリスはワタシの手を引っ張ってお茶会の準備をしているテーブルから離れた



「…ぇ、…うぇ!?;」




待て待て待て!!(汗)

アリス君!?いや、アリスさん!?
Σ(´・Д・)」

ワタシは人にやってあげるのはイイけど!ばっちこいだけど!!

ワタシ時代的に着たことないッスヨ!?(←まぁ、そうでしょう)


それにワタシは今まで女物なんて自ら選びませんもの‼︎‼︎

男物かホスト系しか選びません‼︎

えぇ、選びませんとも‼︎‼︎(混乱)




ー結論ー
やめてええええええええええ‼︎‼︎‼︎(大焦)



そんなワタシの心情などお構いなしにアリスは人形棚の横にあるクローゼットの前に連れてきた



ア『何が似合うかしら?』ワクワク




綺麗な歌を口ずさむ程に楽しいのだろう



本当に凄く楽しそうだ




「…アリス……」




ーーーとても、楽しそう…


ワタシの考えでは彼女はずっとココで一人、人形達とお茶会して遊んでいるのだろう



人のいない環境で




ーーー少しでも、こうやって彼女が楽しめるなら……
こんなもんーオシャレーやってやろうじゃねぇか!!



ア『肌が白いから真紅とか黒色のドレスがいいわね!
靴も色を合わせて、あまり派手じゃない方がいいわ!
あ、あとね!髪も………』



アレコレと色々な服や靴を出して、ワタシに合わせたりして
これじゃない、それじゃない
と楽しみながら悩んでいる彼女が愛おしく思えてきた




「ねぇ、アリスも着替えましょう?」



ア『……ぇ?』



きょとん、そんな効果音が似合う




「"せっかくのお茶会"なんでしょう?
だったら、アリスも着替えましょうよ
髪のセットもメイクもワタシがやってあげる」



一瞬戸惑ったあと、おずおずとワタシに問いかけてきた




ア『…………いいの?』



「もちろん!さぁ、アリスのも選びましょう‼︎」



ア『…うん‼︎』



その時の彼女の笑顔は、花が咲いたようにとても綺麗で一瞬見惚れてしまった



「…そうねぇ……アリスもお肌が白くて綺麗だから………」



アリスはワタシの服を、
ワタシはアリスの服をそれぞれ選び着替えた



ア『わぁ!すごい、すごいわ!私大人になったみたい‼︎』



アリスには
淡い桃色のドレスに首にパステルカラーの赤いリボンを結び、緑のブローチを着け

真紅のリボンのついた薄いピンクのヒール

ナチュラルカラーのアイシャドウ、

ピンクのグロス、

オレンジのチーク

という薄化粧を施した

長くて綺麗な髪もポニーテールにまとめ、最初から結んであった三つ編みでクロスさせてデザインしたもの

その姿にアリスは嬉しそうに鏡の前でくるくると回って眺めている




「とても綺麗よ、アリス」




ア『ありがとう、あなたもとても似合ってるわ!』



アリスはワタシに
胸元の空いたノースリーブの深い青のドレスに
薄緑のチョーカー

腕には二の腕までの長めの白い手袋

紺の少し高めのヒール

というワタシの年齢相応のファッションを選んだ

そして、いつもおろしている色素の抜けた(ところどころ金髪だが)茶色い肩甲骨あたりまである髪を三つ編みのお団子にまとめ


大人っぽい色のローズ系のアイシャドウ

薄い薔薇色のグロスにチークという少し大人っぽいメイクもやってくれた



「ふふ、ありがとう
アリスは服選びもメイクも上手ね」



いつもは嫌なのだが、アリスがやってくれたことに対しては凄く嬉しかった



アリスの頭を撫でると、
照れ臭そうに、とても嬉しそうに笑ってくれた




ーーー妹に欲しi(殴



人1〔アリス、オ茶会ノ準備ガ出来タヨ〕

人2〔アリス!トテモ キレイ‼︎〕

人3〔トテモ 似合ッテルワ、アリス‼︎〕



ちょうど人形達が準備をやってくれたらしい、
ふわふわ漂いながらこの空間の主を呼ぶ



ア『あら、みんなありがとう‼︎
さぁ、お茶会を始めましょう!』



「お邪魔させていただきますね」



あぁ、やっとチャンスが来た
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