figure skating

□ライバルでもあり恋人
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〜おまけ〜


年の瀬の大晦日。

「なんでここにいるんだろうね…」

「香織いくよー?」

結弦に連れられて、NHKホールの近くのリンクが貸し切れたのでそこへ向かっています。

紅白が始まるまで、滑りたいとお願いして借りてもらった。

「はぁ…」

溜め息を吐いて香織はリンクへ入る。

カメラに気づいて姿勢を正した。


「先輩。もしかして撮影入るんですか?」

靴を履きながら香織が聞くと、苦笑いして頷いた。

「うん。ごめんね?先に花は咲く滑るから…」

「先輩、私も滑ります」

簡単に二人は打ち合わせして、プログラムを組みなおす。

そしてペアのようなプログラムで、花は咲くを滑り終えた二人は満足そうだった。

撮影スタッフたちが撤収した後、二人はちょっとだけリンクを滑りNHKホールへ向かった。

衣装に着替えた二人は仲良く写真を撮った。

青い袴の結弦、赤い着物の香織、二人が並ぶと絵になっていた。

そして会場に二人が入ると、お客さんがざわめいた。

歩きにくいであろう香織の手を取って結弦が歩く。

それだけで絵にはなるが、ファンとしては複雑だった。

だけど、二人は気にもせず、指定の席に座り談笑していた。

「楽しみだなぁ」

「うん」

オープニングが始まり、二人はきゃっきゃしながら楽しんでいた。

挨拶も滞りなく済ませて、アニメ紅白を楽しんでいた。

アニメソングを香織は歌いながら楽しんでいる所を放送されていた。

二人で楽しく歌いながら、見てペンライトを振っていた。

そして花が咲くの時が来た。

二人は舞台へ上がり、コメントをする。

司会の二人がコメントを求めてきて、二人はそれぞれ答える。

「今回は二人で花は咲くを滑らせていただきました」

「歌の後ろで流れる映像もご堪能ください」

そして、大画面の前に出演者が揃い歌が始まる。

二人が映った映像が流れて、観客は歌を聞き入りながら画面にも釘づけだった。

結弦と香織は画面を見つつ、仲良く歌を歌った。

そして歌が終わると、舞台袖に並んで歩いてると舞台裏カメラに掴まる。

「こんばんわ」

結弦と香織が待ち構えていたX6のメンバーの坂本さんと長野さんに挨拶をした。

「お二人は先輩後輩という事ですが…」

「高校の先輩ですね」

「スケート歴は同じくらいですけどね」

と、二人が答える。

「あ、確かにそうですね。私は始めた時は関西拠点でしたけど」

と、香織が言うと結弦も驚いていた。

「え、まじ?」

「はい」

「羽生さんも知らなかったんですか?」

「初耳です」

と、驚きながら言った。

「私、初めての大会は関西でしたよ」

ここでテロップが出される。

「生まれは兵庫県でスケート始めた直後に父の転勤で宮城に移ったんですよ」

3人がへぇーっと驚いていて、香織は意外そうにしていた。

「まあ、関西弁喋らないですからね。でも、試合やショーで関西に行くとなんか懐かしく感じます」

にこっと微笑んだら場が物凄く和んでいた。


それから暫く音楽の話をしたりしてから、席に戻った。

小林幸子さんの千本桜に香織はテンションが上がっていた。

ボソッと私も歌いたいな…と言ったのは結弦しか聞こえていなかった。


そして、無事に紅白が終わり、二人も会場を後にした。

近くのホテルを予約していた結弦に連れられて、ホテルへ向かう道でコンビニを見付けた香織は立ち寄ろうと言った。

「何買うの?」

「残ってたらいいんだけど…」

そう言ってうろうろする香織。

着物も脱いで私服の二人は、年末年始を一緒に迎えるカップルにしか見えなかった。

香織はチルドの蕎麦を二つ買って、お茶も買い込んでコンビニを後にした。


ホテルはダブルのお部屋で、夜景が物凄く綺麗だった。

「結弦…ここ高いんじゃ??」

荷物をテーブルに置いて、香織は窓側へ。

「せっかくだからさ…ちょっと頑張っちゃった」

後ろからぎゅっと抱きしめた結弦は、今まで我慢してた分香織を満喫した。

「もう」

照れながらも彼に体を預ける。

「あ、年越しそば食べよ?」

買ってきたものを取り出して、窓際のソファーに並んで座る。

テレビをつけてカウントダウンをしながら、二人でゆっくりとそばを食べる。

「…結弦とこうして新年を迎えられるなんて」

「ん??」

「なんか…嬉しいし、幸せ」

そう言って微笑む香織に、結弦はきゅんってなった。

蕎麦を食べ終えた二人は、静かにカウントダウンを見つめた。














「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」

二人そろって挨拶をして、思わず笑ってしまう。


「ねえ、今年はさ…一緒に住まない?」

「え?」

「カナダでさ…一緒に…どうかな?」

「でも、お母さんと住んでなかった?」

「母さんには話して、香織ならって許可貰ってる」

「…い、いいのかな…」

「将来的には…ずっと一緒に…暮らしてほしいんだけれど」

「!!」

「僕のお嫁さんになってくれませんか?」

目をじっと見つめられながら言われた言葉に、香織は頭が混乱していた。

「…え…お嫁さん…」

「うん、僕と結婚してほしい」

「いいの?私で」

「香織がいいの。だから、返事ちょうだい?」

「…私の旦那さんになってください」

泣きながら結弦に抱き付いた香織。

「もちろん!」

「…ふえぇぇぇぇ」

うれし泣きした香織を結弦は嬉しそうに抱きしめていた。

「香織、大好き…ずーっと愛してるからね」

「うん、私もずーっと結弦を愛してる!!」






こうして、二人の新年が明けて行きましたとさ。


おしまい。
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