figure skating

□ライバルでもあり恋人
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そして全日本選手権のエキシビションが始まった。

オープニングはFF14のジョブコスプレで登場し、演目はハリーポッターのコスプレで登場。

選曲もフリーとは違い、明るめの曲をチョイスしている。

真っ暗の中リンクへ上がった香織は深呼吸をしてから杖を取り出し叫んだ。

「ルーモス・マキシマ!!!!」

会場に声が響くとライトが一斉に光った。

それと同時に音楽が鳴り響き、ローブを羽織った香織が軽やかに滑り出す。

フリーと似たような構成をしつつも、明らかに違うのはジャンプの高さと多さ。

バレエジャンプもたくさん入ってて自由に滑っていた。

最後にバックフリップを決めて演技を終えた香織は満足感と楽しんだ感がいっぱいだった。

一回引っ込んだ香織は水分補給をして、アンコールに答えた。

そして、視線に入った結弦に合図を送った。

ローブを脱いで今度はリンクに上がり、SPの音楽が流れる。

そして、リンクを一周したところで羽生が乱入。

二人が息の合ったスケートを披露する。

飛ぶジャンプも同じで息の合ったスケートだった。

学び舎が同じで学年も被っているからだろうと解説では流れていた。

でも、二人には何かあるのかもしれないと噂が出た。

香織の後に滑る結弦は更に楽しそうにスケートをした。

それをインタビュー席で待ってる香織は彼に恋でもしているような瞳だとも言われた。

その後のインタビューでは乱入の事もきっちりと聞かれた二人は笑ってごまかした。

「同じ学び舎で学んだ時、たまにさっきのように二人で練習していたんです」

「主に先輩が絡んできただけです」

「ちょ!それ酷くない?」

「事実です。あの当時私の方がジャンプ綺麗でした」

「…とまあ、お互いこんな感じで切磋琢磨していたんですよ」

「でも、悔しいのはクワドですね、私はまだ飛べませんから」

と、悔しそうに言う香織に会場は笑いが零れた。

年末はどう過ごされるのかと聞かれた。

「ん〜日本でゆっくりと温泉とか紅白見て、カウントダウン見ながら年越しそばとか食べたいですね」

「ゆっくりはできないかもしれませんが、家族と過ごしたいです」

「あ、でもリンクに通いたいですね」

と、笑って語る香織に結弦も笑っていた。

「練習しておかないと、落ち着かないんで毎日リンクに行きたいですね」

と香織が言うと、結弦も頷きながら言った。

「彼女は練習の鬼ですよ。学生の頃からずっと練習を欠かしたことはないです」

「先輩ほどではないですけどね」

と笑いながら香織が話すと、会場も笑っていた。

可愛らしい先輩後輩に会場も、インタビューアも癒されていた。

その後のバンケットで香織がカナダに拠点を移す事が決まった。

結弦と同じクリケットクラブ。

仲のいい周りからは、いろいろとつつかれた。

「さっきも公式なのにいちゃついちゃってさ〜」

と村上に言われて、結弦は気にもしないくらいに隣にいる香織から離れなかった。

「でも、二人はお似合いだと思うよ?」

「真央さん…」

浅田の言葉に香織が照れる。

「可愛い…」

「羽生さんなんかずるいですよね」

と宇野と山本が言うと、小塚が笑っていた。

「君たちはこれから出会うよきっとね」

大人の小塚君に言われジュニアの二人は頷いていた。

「香織さんが羨ましいです」

宮原やジュニアの面々がそう言っていると、村上と浅田が頷きながら言った。

「あの二人昔から憧れの人が一緒でね…それが多分きっかけって聞いた事あるよ」

「荒川さんほんとにすごいスケータだから私達も目指す所だよね」

浅田と村上の言葉にジュニアの子達は頷いていた。

しかし、宇野と山本はちゃっかりゲーム内で会おうと約束を取り付けていたのだった。

全日本が終わったと思ったら、舞い込んだたくさんのメディアの仕事だった。

そのおかげで香織は憧れている、祖堅さんと大好きなゲームのプロデューサー吉田さんと対談する事が出来た。

その中で香織は悩んでいた進むべき道を見つけた。

拠点はカナダに移すが、学校は変わらなかった。

怒涛のスケジュールをこなし、その合間に基礎練習だけは休まなかった香織。

「香織」

「結弦?」

荷造りしている彼女をそっと抱きしめた。

「ねー一緒に紅白でよ?」

「は?」

「依頼来たんだよね。一緒に出よ?」

「や、私来てないはずだし」

「一緒ならいいよって言ったから」

そう言った結弦に誰かこいつを殴ってください。

と、心の中で香織は突っ込んだ。

「だって、年越し一緒にいたいじゃん?」

だめ?って可愛い顔して言われたら…頷くしかないですよね。

「…わかった」

「ふふ、あとさ一緒に年越ししようね?」

ぎゅうっと抱きしめる結弦に香織も笑顔で頷いた。
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