shortSTORY 2

□☆気づいて欲しくて
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「…遅いのだよ」


もう家の前には緑間君が立っていて…



『ご、ごめーん!和成が全然起きなくて…』


「…全く」



私は自転車、和成は…




「今日は負けねーからな!」


いつも通りジャンケンをして…



いつも通り…



「クソー!!!」



緑間君を乗せて学校まで行く。



リアカー…



『み、緑間君!今日は占い良かったの?』


自転車で並走しながら、緑間君に話しかける。



「まぁ…4位だから悪くはないのだよ」


『そっかー…今日のラッキーアイテムは!?』


「今日はウサギのパスケースだ」



『うわーっ、可愛いねそれー!』



緑間君とこうやって、毎朝話をするのが私の今の一番の幸せ。



「お前らなぁ!俺抜きで…楽しそうにっ…話をっ…」



『あんまり喋ると余計疲れるよー?』


「く、クソっ」


和成には悪いけど…


緑間君と喋るにはずっと負けててもらわないとね。



私はチラッと緑間君を見る。




サラサラの髪に、整った顔立ち。
黒縁のメガネが一層彼の魅力を引き出している。



「なんだ?ジロジロと…」


『うわっ!?あ、なんでもないっ』



あまりにもカッコよくて…


つい見惚れちゃったよ…




そう。私は緑間君に恋してる。



それは高校の入学式をして翌日。



和成が仲良くなった人を紹介してきたのがきっかけ。


最初は変な人だと思ったけど…


和成に誘われて練習試合を見に行った時、緑間君のプレーに圧倒された。


とても綺麗なフォームで、円を描きリングに向かうボール。



その全てが、彼を魅力的に見せた。



まぁ、和成にも…他の友達にもこのことは言ってない。



今は緑間君とこうやって話せてるだけで幸せだから…




今日も他愛もない話をしながら、高校に向かった。
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