shortSTORY 2
□☆気づいて欲しくて
1ページ/8ページ
『…り、…なり…和成!』
「ん…」
ゆっくりと和成の右目が開く。
『和成起きて!遅刻しちゃうよ!?』
グイッと顔を近づけると
「…うわぁ!?」
飛び起きる和成。
「おまっ、また勝手に俺の部屋入りやがって…」
乱れたスウェットを治し、呆れたように私を見る。
この人は、高尾和成。
秀徳高校一年、私と同じ高校でクラスも一緒。
ゆうなれば、小学校も中学校も一緒。
腐れ縁という幼馴染み。
こうやって、いつも朝起こしに行くのが日課になっている。
「お前さぁ…いつも勝手に入ってくんなつってんだろ…」
『だって窓から叩いただけじゃ起きないじゃん…』
私たちの家は隣同士。
ベランダから自由に移動できる。
本当に嫌なら鍵をかけとけばいいのに…
毎日開いているベランダの鍵を見てると、ほんとは起こして欲しかったりするんじゃないのー?って思っちゃう。
『早くしないと、緑間君のリアカー間に合わないよっ』
「なぁ、なんでいつもお前はワクワクしてんだよ…」
なんでって…
そりゃあ…
『いいから行こうよ!早く用意して!』
和成をベットから引きずり出す。
「ちょ、分かったから待てって!」
やれやれと、和成は用意を始めた。
「…お前なぁ」
『ん?』
「着替えらんねーだろ!!出て行けっ!!」
『ひゃあ!!』
勢いよく部屋から追い出される。
今更和成の裸見たからってなんともないのに…
『早くしてよー?』
「分かってるっつーの」
今日も、緑間君に会えるんだ。
楽しみだなぁ…
ふふっと口元を緩めていると
「…んだよ気持ちわりーな」
『!?!和成!?!?早いねっ!?』
「お前が早くしろっつったんだろ…。…ほら、これ」
急に和成から何かを投げられる。
『えっ!?』
それをキャッチして、見てみると…
『りんごジュース?』
「いつも起こしてくれてる礼だよ」
え…、やっぱ起こして欲しかったんじゃん〜
『…ふふ、和成ってツンデレ?』
「あ?うっせーよ。…早く行くぞ」
私たちは緑間君の家の方へと向かった。