shortSTORY 2

□☆気づいて欲しくて
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『…り、…なり…和成!』



「ん…」





ゆっくりと和成の右目が開く。



『和成起きて!遅刻しちゃうよ!?』



グイッと顔を近づけると



「…うわぁ!?」



飛び起きる和成。


「おまっ、また勝手に俺の部屋入りやがって…」




乱れたスウェットを治し、呆れたように私を見る。



この人は、高尾和成。

秀徳高校一年、私と同じ高校でクラスも一緒。

ゆうなれば、小学校も中学校も一緒。


腐れ縁という幼馴染み。


こうやって、いつも朝起こしに行くのが日課になっている。




「お前さぁ…いつも勝手に入ってくんなつってんだろ…」



『だって窓から叩いただけじゃ起きないじゃん…』


私たちの家は隣同士。


ベランダから自由に移動できる。


本当に嫌なら鍵をかけとけばいいのに…


毎日開いているベランダの鍵を見てると、ほんとは起こして欲しかったりするんじゃないのー?って思っちゃう。



『早くしないと、緑間君のリアカー間に合わないよっ』


「なぁ、なんでいつもお前はワクワクしてんだよ…」



なんでって…


そりゃあ…



『いいから行こうよ!早く用意して!』



和成をベットから引きずり出す。


「ちょ、分かったから待てって!」




やれやれと、和成は用意を始めた。



「…お前なぁ」


『ん?』


「着替えらんねーだろ!!出て行けっ!!」



『ひゃあ!!』



勢いよく部屋から追い出される。



今更和成の裸見たからってなんともないのに…



『早くしてよー?』


「分かってるっつーの」




今日も、緑間君に会えるんだ。



楽しみだなぁ…



ふふっと口元を緩めていると



「…んだよ気持ちわりーな」


『!?!和成!?!?早いねっ!?』


「お前が早くしろっつったんだろ…。…ほら、これ」



急に和成から何かを投げられる。


『えっ!?』



それをキャッチして、見てみると…



『りんごジュース?』



「いつも起こしてくれてる礼だよ」



え…、やっぱ起こして欲しかったんじゃん〜



『…ふふ、和成ってツンデレ?』


「あ?うっせーよ。…早く行くぞ」



私たちは緑間君の家の方へと向かった。
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