shortSTORY 2

□☆秘密の秀徳生
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「はぁ…」





緑間君から大きなため息が漏れる。




「…信じられない。それで男になってこの秀徳高校男子バスケ部に紛れ込むなんて…」




いままで頑張ってきて…


やっと試合まででられるようになった…


あとはお兄ちゃんたちの高校と戦うことができれば…




『緑間君が…もし私のことをバラすなら…私はもうこの高校にはいられなくなる…』



ここから、女です。

なんて言って残らせてくれるほど優しい高校ではない。



「……」


緑間君は少し考えてから



「俺は…お前をかばうようなことはしない」



『…っ』



やっぱり…



「…言わない…だけなのだよ」




『……え?』



私はびっくりして緑間君を見た。



緑間君はこちらを向かず



「…バレても俺は知らないのだよ」


『…っ!ありがとう!!』



私は思わず緑間君を引き寄せた。




そして


抱きしめて



『ほんとうに…ありがとう』




「っ!?…はっ、離れるのだよ!」




ドンッ


思いっきり突き飛ばされ、ベッドにゴロンっと寝転ぶ。





『…?』



「お、お前はもう少し女という自覚を持て!!部活は男ばかりだし…危機感を少し…」



『心配してくれてるの?』



「なっ…」




真っ赤になる緑間君を見て



『…ふふ、うん。ありがとう』




なんだか少し嬉しかった。



今まで、一人で抱え込んできたものが、少しだけ軽くなったような


そんな気がした。




「…と、とにかく。かなみと呼べばいいんだな」



眼鏡をあげ、緑間君はそう言うと




「…本当の名前…もう一回…聞かせてくれないか」



えっ


『……大神…』



「…大神…か」




緑間君に名前を呼ばれた瞬間、少しドキッとした。




お兄ちゃん以外に名前を呼ばれたのは、久しぶりだったから…




「…っ…き、今日は帰るのだよ。じ、じゃあな」



『え!?あ、バイバイっ』




緑間君はすぐに保健室から出て行った。




なんだろう…



この変な気持ち。



名前を呼ばれたから?



ま、まぁとにかく、ここに残れることになってよかった…




私は



やることが残ってるんだから…
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