shortSTORY 2

□☆スキャンダル
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「うーん…今回の仕事は…この雑誌の仕事だけかなぁ…」



私のマネージャー、高木さんは頭を抱えながらスケジュール帳を見せてきた。




『…い、一個だけ…ですか…』



大神かなみ。
モデル兼高校生。


いわゆる…売れないモデル。

演技も歌もできる、超有名モデルを目指し、日々努力を続けてる私だったけど…



「…ほんと、これじゃあやっていけないなぁ…」



仕事は、ほんと小さな雑誌や、CMの小さな役しかまわってこない。


マネージャーの高木さんも、もう諦めているようだった。



このままでは、この仕事を辞めなければいけなくなる…



『あ、私頑張りますからっ!この仕事!』


今の仕事を精一杯やって、いつか超有名なモデルになれるかもしれないし…


「……売名行為とかしたらいーんじゃないの〜」



『え?』



ヘラヘラと笑う高木さん。


もう、普通には売れないと思われてる。


「そーだなー…次の雑誌、今超有名なモデル、黄瀬涼太と一緒の撮影なんだよ」


ある雑誌をひろげ、男の子を指差す。


綺麗な顔、スラっとした体格、とてもカッコいいモデルさんだ。



『黄瀬…涼太…』


「この人と仲良くなってー、恋愛とかして売名行為しちゃえばー?」



『な、なに冗談言ってるんですか!』



売名行為って…

そんなことして売れたって嬉しくないし…



「だってさー、もうかなみちゃん無理だよー?…売れないってこのままじゃー」


はぁーとため息をつく高木さん。



「ね?この業界辞める前に、ちょっとそーゆう事してみたら?最後のチャンスかもよ?これが!」


『そ、そんな…』



私がうつむくと、ポンっと肩に手を置いてくる高木さん。


「かなみちゃん、やってみなよ。売名行為なんてみんなやってること、全然いいんだって!…俺もまだかなみちゃんのマネージャー続けていきたいしさ?」


『…ううん…』



私は首を縦に振ることができない。


「はぁ……じゃあ、連絡先聞くとか、少し仲良くなれば?いきなり恋愛になんてならないだろーし、まぁゆっくり近付いていきなよ?」



高木さんはそう言うと


「明日、その雑誌の撮影だから。詳しいことはまたメールで伝えるよ。…売れるためには、甘い考えじゃだめだよ?…頑張ってよ、かなみちゃん」



楽屋から出て行った。



うぅ…


もう、こんなことでしか売れる方法がない私なんてモデルやめた方がいいに決まってる…


でも…


そんな簡単に諦められる夢じゃなかった。



ずっと昔から、TVに出て…みんなを笑顔にできたら…なんて…思ってた…



それが、こんなに難しい世界だったなんて…



私は雑誌に載っている黄瀬涼太君を眺める。



黄瀬涼太。


この人を使って…


有名になる…



こんな卑怯なやりかたしかないのだろうか…
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