shortSTORY 2

□☆誓いの言葉
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『ま、待ってよ。…あ、私たち婚約者なんだから…ち、ちょっと仲良くしようとか思わないの?』



あまりにも冷たい言葉に多少なりとも怒りを覚えた。


私だって、来たくてここにいるわけじゃない。


急に婚約者云々言われて、仕方なく来てるのに…



「婚約者…ね。…仲良くする必要あるかい?今、君と仲良くなろうがならないだろうが、僕たちが結婚することは変わらない。」


征十郎君は私をジッと見る。


その迫力に、少し怯むが…


『だ、だからってこれはあんまりじゃない?…私はもっと、征十郎君のことを知って、好きになって、結婚したい』



結婚自体したくないけど



「…それはただの君の願望だよね?僕はその願望を聞き入れる必要はないはずだ。」


『!…将来一緒に暮らすんだよ!?愛が無い結婚なんて…』



「契約結婚なんてそんなものだよ。…それが僕らの運命なんだ」



冷たい言葉。


さっきの笑顔から感じられたのは、この冷たさだったんだ。



『愛がなきゃ…キスとか、そうゆうことできないじゃん…』


子供みたいな反抗だと我ながら思う。


でも実際そうだ。

愛がなきゃ…



ガタリと征十郎君は立ち上がった。


そして、私の元へ近づいてくる。



『へ!?何!?』



後ろへ下がった瞬間、足にベットが当たる。



そして…


ドサッ



私は征十郎君にベットへと押し倒された。



『な、なななっ……んっ』



驚いていると、そのまま呆気なく唇を重ねられた。




『…んっ…っ』



キスされてるのに、愛の感じないキス。



『…っはぁ…』




唇が離れ、私は声を漏らす。



「…愛が無くても、キスくらいできるよ?…君が望むのなら…それ以上のことをしようか?」



征十郎君は、そう言って私の頬に触れ、そのまま手を下へと滑らせる。



首筋、鎖骨、胸のあたりまで…




『…やめて‼︎』


耐えられなくなり、ギュッと目をつむる。






すると、
身体の上のかすかな重みは離れ



「君が望むのならって言っただろ。…別に僕はしたいとも思わない。」



そう言って勉強机へと戻る。



「わかった?…僕は別に君と仲良くなりたいとなんて思ってない。どうせ結婚するだ。そんなことしたって無意味だ。…君が他の男と仲良くしようが、恋人のようなことをしようが、結婚するまでならどんな遊びでもすればいい」



征十郎君はそれだけ言うと、その後は私には一切喋りかけなかった。



私も、これ以上何か言ったところで無駄な気がしたので黙っていた。



最悪だ…


こんな人と、結婚したくない。




時間が来るまで、私たちは同じ部屋でただ沈黙を突き通していた。
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