shortSTORY
□☆恋人series
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「おい、帰るぞ」
教室にやってきたのは花宮君。
『え?部活は?』
自習をしようとノートを開けていた私。
いつもは、花宮君の部活が終わるまではこうやって教室で勉強してるんだけど……
「昨日OFFだっつってただろバーカ」
『え!?い、言ってたっけ!?ご、ごめんねっすぐ片付ける!』
その瞬間、ひょいとノートをとられ
「…………お前こんな低レベルなとこやってんの?」
『え』
「しかもここ間違ってる」
『え』
「バァカ」
『っ……じ、じゃあ花宮君できるわけ!?』
花宮君は私の席の前の椅子に座る。
そして、ノートを広げ、シャーペンの芯をカチカチと出し
「ここ、こうじゃなくて……この公式使うんだよ。あと、これ、根本的に間違ってる。お前参考書持ってねーの?」
『え、え……』
「教えてやってんだから座れよ」
『あ、はいっ……』
私はすぐに自分の席に座る。
「持ってねぇなら俺の参考書でいいや。……ほら、この公式。これをこうつかって……」
花宮君はスラスラと問題を解いていく。
『…………すご……』
頭良いのは知ってたけど……
「お前が馬鹿なだけ」
『……さっきから花宮君馬鹿馬鹿酷い……』
「これくらい解けねぇでなんでこの学校受かってんだよ」
『…………そこまで馬鹿じゃない……』
「じゃあここ一人で解いてみろ」
花宮君はトントンと指で叩いて問題を差す。
『…………』
なんとも難しそうな問題……
『…………わかんない』
「だから?」
『教えて……』
「教えて……?」
『っ…………ください』
「仕方ねぇな」
花宮君はやれやれと言ったように参考書を広げ、私に丁寧に教えてくれた。
むかつくけど……
花宮君の教え方はすごく上手い。