shortSTORY

□☆渡さない
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「なー……あんなガリ勉眼鏡のどこがいーんだよー」



『いや……別にガリ勉じゃないし……てか灰崎君近いって』



私は肩にある彼の手をどかす。



「いーじゃん?あんなやつよりテクも持ってるしさ!一回だけ!」




話がいちいち下品だ……



私はため息をつき




『諦めてください』




丁重に頭を下げた。




「やだ。お前俺のすげー好みだもん」




『人のものだからでしょう』



「それもあるけど、顔が好み。あと胸」



『お願いだから諦めてよ……』



ガララララッ…




「まる、今日の部活のメニューを持ってき……」




『あ、真太郎……』




今まさに、灰崎君の手が私の方に伸びているところだった。




「…………離れろ」



真太郎はそう言って灰崎君を睨みつける。



「うわ出たよ。……なんでお前がこんな美人な彼女手に入れられるわけ?絶対俺の方がいいじゃん」



灰崎君はまったく動じず、むしろ私の腕を掴む。



「今日部活サボって遊ぼーってマジで」



『やめ……離し……「灰崎、いい加減にしろ」



灰崎君の手は、真太郎によって離された。



「あ?……んだよ、やんのか緑間」




スクッと立ち上がる灰崎君。


身長的には真太郎の方が上だ。



「………………まるは渡さない」


そう言って灰崎君を見下ろす。



「はっ……どうかな?いつのまにか奪われて「やってみろ。お前が入る隙などないのだよ」




するといきなり、私は強い力に引き寄せられる。



『へっ……』



腕を引かれ……




真太郎の方へ……





『っ……』



一瞬にして、彼との距離が0になる。



「な…………」


灰崎君の声が聞こえる。



ザワザワと教室のみんなが騒ぎ出す。




ん?



私……



「こいつは俺のものだ。絶対に渡さないのだよ」




唇を離し……、真太郎はそう言った。



き、キス……されて?





「ちっ……見せつけんじゃねーよ」




灰崎君はつまらなさそうに教室を出て行った。




私はというと……




放心状態。




教室で……キス?




「おい、このメニューを………『真太郎の馬鹿ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』



「なに!?!?!?」







しばらくは真太郎と口をきかなかった。









(END)
 

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