shortSTORY
□☆甘い声
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「今日は部活がOFFらしーぜ!」
ぽんっと背中を叩いてきたのは高尾君。
『え、そ、そーなんだ』
「久しぶりに真ちゃんとデートできるじゃん!」
『う、うるさいなぁ』
私は高尾君の冷やかしを苦笑いで流し、チラッと緑間君の方を見る。
緑間君は本を読んでいるみたいで、こちらにはまったく関心がなさそうだ。
…デート誘ってくれるわけないか…
小さくため息をついた。
「あれー?真ちゃんデートさそわねぇのかな?…なーら!」
ガッと強引に肩を組んでくる高尾君。
『え、ちょ…』
「俺がれのをデートに誘っちゃおうかなー?…なーんて…」
パンッ
と大きな音をたて、緑間君は本を閉じた。
私はビクッと体を震わす。
『ちょ、高尾君…離したほうがいいよ…ほんと…』
「え〜」
高尾君はたのしそうに緑間君のほうをみる。
「…おい」
緑間君がこちらをギロッと見て
「そいつから離れろ。いくらお前でもそろそろ怒るのだよ」
緑間君の本気を感じ取ったのか
「へいへーい」
と言って、高尾君は私から離れた。
「ま、今日はOFFなんだしゆっくり家デートでもしたら〜…んじゃ俺は帰りまーす」
そそくさと帰っていく高尾君。
私は、怒っているであろう緑間君にどう接していいか困り果ててしまった。