shortSTORY
□☆図書室
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いつもの図書室。
静かで、本の匂いがして、放課後の今は夕日が窓から差し込み、とても綺麗な景色が広がる。
私はいつも読んでる小説の最後のページに差し掛かる。
あ、もうこんなとこまで読んだのか…
読み始めてから、かなりの時間が経ったのだろう。
そんな時間の経過も忘れるほどの良作であった。
しかし、これはまだ上巻。
下巻を探しに、私は本棚へ向かった。
沢山の本が並ぶ棚を、ゆっくりとタイトルを確かめながら探す。
『……あ』
この小説の下巻だ。
…なんであれだけあんな上の方にあるのだろう。
私の身長は高い方ではない。
むしろ小さい方だ。
本棚の一角に手をかけ、ぐんっと背伸びをする。
人差し指が、トンっと目当ての本に当たるのが精一杯だ。
ジャンプしたら届きそうだが…
もう一度、ぐんっと背伸びをしようとした時。
不意に横から手がのびて、私の目当ての本を軽々ととっていった。