帝光中学のマネージャー

□分岐ルート6
6ページ/16ページ

「…まだ怒ってるの?」



『怒ってない』


怒ってるけど


てか怒るでしょ…



このあとも、水族館を見て回っていたけど、私があまりにもムスッとしていたため…





「はぁ…悪かったよ。そろそろ許してくれないか?」



赤司君は苦笑いしている。


あまりにも根に持つやつだな、とかどうせ思ってるんだろうなぁ



「どうしたら許してもらえるのかな」




ため息をつく赤司君。



側から見たら、きっとわがままな彼女に困っている彼氏さんってとこなのかな?


とんでもない。


遊ばれてるのはこっちなんだから…




ふと、水族館の外にある大きな観覧車に目がいく。




外はもう暗くなっていて、綺麗にライトアップされていた。





『…あれ』




私は観覧車を指差す。


『あれ乗らしてくれたら許してあげる』




赤司君は大きな観覧車を見つめ




「…もちろん」



ニコリと微笑んだ。



彼の微笑みはずるい。


キラキラしていて…


別に好きじゃないのに、心臓の音をうるさくする。



「…行こっか?」




その瞬間、手を握られる。




『えっ…ちょ…』



すると振り向いて赤司君は、しーっと口元に手を当てる。




ど、どういうつもり!?




そのまま観覧車の前に着くと…




「俺もね、大神に話したいことがあって…ゆっくり話せるところを探してたよ」



『は、話したいこと?』





従業員に誘導され、そのまま私は赤司君と手を繋いで観覧車に乗り込んだ。




さすがにお互い向き合って座る際には、手を離して




「…ビックリさせてしまったかな?」



軽く笑う赤司君に、あぁ…この人はきっと、人をからかうことばっかする人なんだ…ってなんだか諦めがついた。




もっと真面目な人かと思ってたのに…




『…もう赤司君とは2人でどっか行ったりしない』



「…それは悲しいね」



『全然悲しそうじゃない』




はぁ…外の景色でも見て心を癒そう…




「ねぇ…」


『なに?』




私は外の景色を見ながら適当に答える。



「俺と付き合ってよ」




『………はぁ』




私は再び赤司くんの方を見た。



また…そんな適当なこと…




彼の方を向いた瞬間、真っ直ぐに真剣な彼の目線と重なった。





『っ…。また…からかって…』



「本気だ。…からかうつもりなんて…最初からない」




ダメだ…騙されたら…



『私…赤司君のこと好きじゃないから。付き合えない』



「…そう…か」



シン…と静まり返る観覧車。




「2週間…いや、1週間でもダメ…かな?」



『はい?』



1週間付き合う?なにそれ…やっぱ遊び…



「俺は…お前が好きだ。…だからチャンスが欲しい。1週間俺と付き合って…それでもお前が俺のことを嫌いだというなら…潔く諦めるさ」



『…い、1週間で好きになんかならないし…試しに付き合うなんて…』



赤司君を見ると、決してそれをふざけて言っているわけではないのがわかった。



真っ直ぐに私を見てる。



その目は、とても綺麗で…吸い込まれそう…




どうしてだろう…



これを断れば…彼をすごく傷付けてしまうのではないかと思った。



実際遊ばれてるのは私なのに…



どうしてそんな目するの?



どうして…



『……い、1週間…だけ…なら』



「本当に?」


『けど!試しに付き合うんだからね!キスとか…変なことしようとしたらすぐに終了だからね!!』




そう言うと



「あぁ、もちろん。同意なしに手を出したりはしないよ。たぶん」



たぶん!?



「いや、絶対だ」



『…っ…。じゃあ…今日からよろしく…』



「あぁ…よろしく。かなみ」




こうして私たちは、1週間だけ…付き合うことになった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ