帝光中学のマネージャー

□分岐ルート6
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「こーんな可愛い格好してるのに1人なんて寂しくなーい?」

「彼氏さんと喧嘩でもした?俺らが相手しようか?」




1人は180pほどある背の高い…いかにもチャラ男ってかんじ。


もう一人も横の男ほどは高くないけど…き、筋肉があって力では到底敵いそうにない。



『つ、連れがいるんで…』




こういうのは逃げるが勝ち!



私はしゃがんで彼らの間をすり抜けようとした。



けれど



「ちょーいまって」




二の腕をガッチリと掴まれ、逃げ出すことに失敗してしまった。



ゴロゴロゴロっ



腕を掴まれたことにより、持っていたジュースの缶は手から転がり落ちた。



「いーじゃん?連れなんて…。俺らと遊ぼーよ」



180pの男は、じりじりと壁よりに私を追いやる。



待って待って…なんでこの水族館ここだけこんなに人通らないの!?


だ、誰か…



「大声とか出すんじゃねーよ?」



横にいた筋肉の男がガンっと私の横の壁を殴った。




ま、まってまってまって



どうして水族館にこんな不良がぁぁぁあ




「ね?いこ?俺らといいことしよ?」




た、助けて…



赤司君っ…





「彼女から離れてくれないか」





ふと、男たちの後ろから声がした。




「あ?」
「んだよお前」




「…聞こえなかったかい?…彼女から離れろと言ったんだ」




『赤司君!!!!』



そこにいたのは赤司君だった!


助けに…来てくれた!




「んだよあのチビ…うぜぇ!」



180pの男は私から離れ、赤司君の方へと向かっていった。




さらに筋肉男も赤司君に殴りかかろうとした。



『あ、赤司君!!』




すると赤司君は、すかさず二人の拳をかわした。


いとも簡単に…



最小限の動きでかわしたあと、ポンっと180pの男の肩に手を乗せる。



「僕と目線を変えずに話すことを許しているのは…僕に従うものだけだ」




「なっ…」



何が起こっているのだろう。



180pの男は、ゆっくりとしゃがみこんでいく。




「…頭が高いぞ」




ガタンッ




そして完全に座り込む男。



筋肉男はそれを目を丸くして見ている。




「…失せろ」




ビクッ…




私でも、背筋が凍るほどの圧力。



じわじわと沸き起こる恐怖心。




睨まれている張本人はさぞかし恐怖だろう。




「うっ…うわぁぁぁぁぁあ」





男たちはすぐさま逃げていった。



ガタッ




「っ…大神!」



私はその場に座り込んでしまった。



そこへ駆け寄ってくる赤司君。




「ごめんね。怖い思いをさせてしまって…」



『あ…赤司君の睨みが一番怖かった…』



「え」



だってあんな睨み…



ううっ…思い出したら涙が…




「ご、ごめん。あいつらを追い払うつもりだったんだが…君にも恐怖心を与えていたとは…」



赤司君は私の頭を撫でる。



「悪かった。…大丈夫、大神には怖いことなんてしない。約束する」




ニコリと笑う赤司君は、先ほどとは別人だ。



『赤司君って二重人格?』



「ん?…さぁ…どうだろう」



柔らかく笑う彼は、何かを秘めているような…そんな気がした。



「さ、立てる?」



赤司君に起こされ


『あ…ジュース…』



買ったばかりのジュースを拾い上げる。


『さ、さっきはいきなりいなくなってごめん。…お詫びにジュース買ったんだけど…』



「…こちらこそ。少しからかいすぎたね」


『や、やっぱからかってたの!?』


「…こうでも言わなきゃ一緒にいてくれないよね?」


『へ…』



スルリと私の手からジュースをとり、片手でカチリと開ける





シュワワワワワワワ



「…っ!」



『あ…』


そっか、炭酸だしさっき落としたので…



みるみる溢れてくるジュースで、赤司君の手はビチョビチョに…




『…ふふっ』


やば、こんないつも完璧な赤司君が…なんか…



格好悪いっ


『あはははははっ』



「…笑い過ぎ」



『だ、だって…赤司君がそんな風にドジなところ見たことない…ふふっ…』


「…大神のせいなんだけど?」


あー…だめだ…わ、笑いが…



「…はぁ…」




ドンッ



急に壁へと追いやられ



「俺の手…お前のせいで濡れちゃったじゃないか…」



あれ…急になんか…ヤバイ雰囲気?


わ、笑い過ぎて赤司君のプライドを傷つけた!?



「この濡れた手…どうしてくれるの?」


『あ…あたし…は、ハンカチ持って…』



その瞬間、口元に赤司君の指先が触れる。



「…どうすればいいか…わかるよね?」



え、


ええええ



えええええ!?



『ちょ…あ、赤司く…』



や、やばい…


な、舐めろってこと!?


な、ななななにそんな!?


『む、無理…無理だよ…』


「お前のせいで濡れたのに?処理してもらうまで…許さないよ?」




彼に直視されると…もう反抗も出来なくて…



私はゆっくり、口を開けようとした。






「…ふふっ…なーんてね」




『へ…』



「俺を笑ったバツ」



赤司君はすっと私から離れ、ポケットのハンカチで手をふく。



『な、ななななな』


「笑われっぱなしなんて…俺が許すわけないだろ?」




む、ムカつくーーーー



「さ、これでチャラだ。引き続き、デートを楽しもうか」



チャラって…

チャラって…




赤司君はやっぱり好きになれない!!!!!!!




心の中でそう叫んだ。
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