帝光中学のマネージャー

□分岐ルート6
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『うわぁぁぁ!綺麗だね!』





水族館の中は、一面が水槽に覆われていて、その中には赤青黄緑…様々な魚が泳いでいた。


『あ、見て見て!この魚赤司君に似てる〜』



「え」




指をさした方向にいるのは、赤くて小さい魚。


他の群れとは離れていて、一匹でスイスイと泳いでいる。


「な…なんか喜んでいいのか分からないな」


『あ、これは黄瀬君みたい!』



黄色の魚で、周りには可愛い魚が沢山いる。

モテモテだなぁこの魚…



『あ、これは緑間く「大神、今日は俺とデートに来てるんだから…あいつらのことは無しにしない?」




急に遮られ、少しビックリした。



赤司君を見ると、少し機嫌が悪そうだ。


『えっと…ごめん』



「いや…こちらこそ。…せっかく楽しそうにしてたのにすまない」




赤司君は向こうを指差し




「あっちは深海魚のコーナーらしい。見に行ってみないか?」




『そうだね』




気を取り直して、私たちは水族館をまわった。



水槽に張り付く私。


とても綺麗な魚を見つけて、魅入ってしまう。




「何を見てるのかな?」



そんな声が聞こえたかと思うと、赤司君が両手を私の両サイドに伸ばす。



水槽に手をつき、赤司君の顔は私の真上…


水槽と赤司君に挟まれてしまった!!!



しかも背中はピッタリと赤司君に密着してる…


ち、近いよ!?




「ねぇ…どの魚見てるの?」



わ、わざとなの!?耳元で囁かれ、すごくくすぐったい…



『っ…』

「…あれ?顔赤いけど…どうかした?」




さらに耳元で囁かれ…




『ち、ちょっと離れてっ』



ドンッ




私は振り返り思わず赤司君を突き飛ばす。



「…っと…」



バランスは崩したものの、赤司君はすぐになんでもないような顔をして



「…なに?意識してたの?俺のこと…」




その言葉に…



『なっ…からかうのも…いい加減にしてよっ』




私はとうとうそこから走り出してしまった。



どこに向かうでもなく…

ただ真っ直ぐ、人気のないところへと走った。







かなり走ってきたのかな…



息が少しあがってる…



喉も渇いた。




ふと、目をやるとすぐ近くに自販機があった。



こんな人気のないところに自販機…
設置ミスでしょ…



でも…助かったかも




私は自販機で炭酸のジュースを買った。



どうしよう…走って逃げて来ちゃったしな…


せっかくデート誘ってもらったのに…



私はもう一本同じジュースを押す。



でも、私に全部否があるわけじゃ…




トントン。


肩を叩かれた。


もしかして赤司君?


追い掛けてきてくれて…




振り向くと




「おねーさん一人?」



『え…』




それは見るからにガラの悪い二人組の男だった。
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