帝光中学のマネージャー

□分岐ルート6
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日曜日。



駅前の時計を見ると、待ち合わせ時間の10分前だ。




さすがに早く来すぎたか…





どこか座るところ…



キョロキョロとベンチを探していると…





『あれ?』




ベンチに座っている、赤みがかった髪の男の子。


足を組み本を読んでいる。



なんとも綺麗で絵になる姿だ。




…って見惚れてる場合じゃない。



完全に赤司君だ。



こ、声をかけなきゃ…



いや…でも本読んでるし、邪魔しちゃ悪いかな…


ってあたしたち待ち合わせしてるんだった。



早く行かなきゃ…



でも、声かけるの?


き、緊張する。




何度も近寄ろうとしては止まり、近寄ろうとしては止まりを繰り返していた。




そしてとうとう、約束の一時だ。




赤司君は、パタンと本を閉じ…



こちらへ歩いてくる。




わわっ、こっち来た…



「…さっきから挙動不審だけどどうしたの?」


『え…』



もしかして見られてた!?



『い、いつから気付いてたの?』


「10分前くらいからかな」


『声かけてよ!?』


は、恥ずかし過ぎる…



「ふふ、なんか見てて面白かったからね。つい…」


赤司君の笑顔はなんとも悪気のない笑顔だ…



『も、もう…赤司君って意地悪なんだね!』



そっぽを向く私に



「ごめんごめん。…好きな子には意地悪したくなるもんだよ?男って…」



ポンっと頭に手を乗せられ、一気に顔が熱くなる。



私はブンブンと頭を振り



『そ、そういうチャラいこと言う人だとも思わなかった!』




なんか…遊ばれてるよ…


もう帰りたい…



「ふふ、じゃあ行こうか」



赤司君はそんな私を全く気にせず、すぐに改札口へと向かった。




「あ、待ってよ赤司君!」



追いかけることしかできず、私は渋々電車に乗った。




水族館は、ここから5つ目の駅のすぐ近くにあった。



…やはり日曜日ということで人が多い…



押し潰されそうだ…




「…苦しい?」



赤司君が私を覗き込む。



『ん…少しだけ。でも大丈夫…』




笑って返すと


「…こっちにおいで」



急に腕を引かれ、私は電車のドアと赤司君に挟まれる状態になった。




『へっ!?ちょ…』

「…少し楽になったんじゃないかな?」



確かに押し潰されることはなくなったけど…



赤司君と体が密着しすぎて…



赤司君の顔もすごく近い…



赤司君の息が私の前髪に…




これはこれで耐えられないよ!?



私は咄嗟に下を向き、早く駅に着いてくれることを祈った。





「…どうした?顔…赤いけど」



『き、気にしないで』



てか喋らないで…


赤司君の息がかかるとくすぐったくて恥ずかしくて…さらに顔が熱くなる。




こんな状態でまともに会話出来るはずもなく、私は駅に着くまで一言も話さなかった。



時折、赤司君が話しかけてきたけど、うん、とかそうだね、とか素っ気ない言葉で返してしまった。




嫌われるかな…


でも、あんな状態でまともに会話なんてできないよ!?
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