誠凛高校

□今は自分の出来る事を
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俺は図書室に居た。
図書当番だからではない。アルことを調べたかったからだ。
今日は部活も無いし、クラスの奴らにカラオケに誘われたが断った。
俺は目的の本を何冊か選び出し席につき、後でコピーするために付箋を付けていく。
図書室にあるコピー機は誰でも使えるが有料だ。
けど図書委員は10枚までなら無料で使えるのだ。まぁ特権ってやつだな。
俺は何冊目かの本を開く。
あれ?これはさっきの本に似たことが出てたな。
俺は本から目を離さずに、さっきの本に手を伸ばすが本に届かない。
直ぐそこに置いたんだけどな〜
俺の手はパタパタと宙を扇ぐばかりだった。
「これか?」
と、不意に誰かが本を渡してくれた。
「あっどうもあり……」
俺は渡してくれた人物を見た瞬間、言葉を失う。
「よっ」
そこに居たのは……
「木吉先輩!!!!」
俺が発した言葉に、図書室に居た全員がこっちを見た。
「降旗声デカイぞ」
「あっスミマセン…」
俺は慌てて口を抑えた。
「さっきから随分と熱心に何調べてるんだ?」
木吉先輩が積んである本を手に取った。
ヤバイ!と思ったか既に遅かった。
「何々『直ぐに出来るテーピング術』『テーピングとストレッチ』『テーピングの分かりやすい解説書』っと、どれもテーピング関係のばっかだな」
「それは…ってか木吉先輩は何時からここに居たんですか?ここで何やってるんですか?」
「これ借りに来たら降旗が居たんで、少し前からそこで見てた」
と、借りに来たと言う花札の本を見せてくれた。
「そうだったんですか。お疲れ様です」
「折角だし一緒に帰ろうぜ」
「えーっ!!!!」
「だから声デカイぞ」
「スミマセン…」
再び俺の方を見てる他の生徒たちに謝った。
「えっと…じゃコピーしてくるんで」
「もういいのか?終わるまで待ってるぞ」
「いえ、大丈夫です」
てか目の前で待ってられたら、とても無理だ。
俺はコピーを済ませ本を戻して、木吉先輩と一緒に下駄箱に向かった。
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