誠凛高校

□細けーよ!!
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せっかく部活がOFFなんで、昼から新作のフィギュアを見に行こうと思っていた俺だったが、昼飯時の店番を頼むと親父に言われ、少し?不機嫌な俺は店の椅子に座り、ホビー雑誌を読んでいた。
「おっこのフォルムいいな〜 けど値段が…」
その時だった、誰かが店のドアを開けた。
「いらっしゃいま…ってオマエかよ」
俺は立ち上がり、お客ではなく見知ったその人物に言った。
「あ〜日向、お客さんに向かってその態度はいただけないな」
木吉はドアを閉めると俺を指差した。
「は?つーかオマエ客じゃねーだろ」
「何でだよ?」
「何でって、それはこっちが聞きてーよ。休みの日までオマエの顔見たかねーっての」
「相変わらず酷いな。それに俺は客だぞ」
「は?」
「だってここ床屋だろ」
「床屋つーなや!用がないなら帰れ!」
「だから俺は客だって。髪切りに来たんだけど日向だけか?」
「なんだそーか。待ってろ、今親父呼んで来っから」
俺が言うと、木吉がそれを止めたら。
「あーいいよいいよ。日向やってくれ」
「は?」
「じゃよろしくな」
木吉は俺の返事を待たずに椅子に座った。

一応親父の了解をとった俺は準備をして、木吉の後頭部を見詰めた。
「で、どのくらいにすんだ?」
「あ〜そうだな〜」
木吉はしばらく考えてから
「いつも通りで」
「いや知らなーし!オマエここ来んの初めてだろーが!ダァホ!」
俺は木吉の後頭部を叩いた。
「ってーな」
「先に顔剃りすっから、その間に考えとけ」
「おう」
俺はシートを倒し、蒸しタオルを取りに行く。
ここでちょっとしたイタズラを思い付いた。
「じゃタオル乗せっぞ」
「おう」
俺は木吉の顔にタオルを乗せた。
そう、少し熱めのタオルを。
「っち!」
木吉が一瞬ピクッと羽上がった。
「日向ぁ、なんか熱くないか?」
「そうか?俺ん所はこれが普通だ」
タオルで隠れて見えないが、木吉が顔を歪ませているのを想像して笑った。
「どうした?」
「いや、何でもねー」
タオルを取ると、木吉の顔は少し赤くなっていた。
それがまた笑えた。
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