誠凛高校

□ダメ…ですか?
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下駄箱に向かいながら、俺の木吉先輩と二人きりで帰れるドキドキ感はMAXになっていた。
俺が木吉先輩を意識し始めたのは何時からだっただろうか。
キャンプが言ったように、確かに木吉先輩は変人だ。
でもバスケしてる姿は普段とは違ってかっこいいと素直に思った。
俺も木吉先輩みたいにかっこよくプレイしたと思うようになり、木吉先輩の姿を目で追うようになった。
けど、何かが違うことに気付いた。
いや、木吉先輩みたいにかっこよくプレイしたと思ってるのは確かだ。でもそれとは違う何かが俺の中にはあった。
俺は木吉先輩を好きになり始めている。
そう思ったら、こっち感情の方が大きくなり、もっと木吉先輩のことが知りたい、木吉先輩と一緒に居たいと。
まさかこんなにも早くてチャンスが来るなんて。

「お待たせしました」
「俺こそいきなりごめんな。ホントにいいのか?」
「はい」
俺が傘を開くと、木吉先輩が俺の方に身体を寄せてきた。
「うわっっ」
「どうした?」
「いえ…何でもないです」
木吉先輩がこんなにも近くに…って近すぎだ!
「傘俺が持つよ」
木吉先輩が俺から傘を取った。
「いえ、そんな先輩に持ってもらうなんて」
「だって降旗手疲れるぞ」
そっか。身長差だ。
木吉先輩の頭を覆うとなると俺ずっと手を挙げたままになるんだ。
気付かなかった。
「じゃ出発だ」
「はい」
俺たちは肩を並べて歩き出した。
なんかこれだと俺が傘を忘れたみたいに見えるよな。
ちょっと恥ずかしいけど、今のこの状況…うん、ワルくない。
えっと……どうしよう。いざとなると何を話ていいか分からない。
「こうやって降旗とゆっくり話すのって初めてだな」
「そうですね」
よかった〜 木吉先輩から話を振ってくれた。
「練習どうだ?リコのメニューはキツくないか?」
「そうですね。毎日がいっぱいいっぱいです」
「そっか。でも一年生は皆頑張ってるの伝わってくるぞ」
「黒子や火神はともかく、俺なんてまだまだです」
「そんなことないって」
木吉先輩が俺の頭を撫でてくれた。
「わっっ」
いきなりのことに驚き、俺は木吉先輩から離れる。
「どうした?傘から出たら濡れるぞ」
木吉先輩が俺の手を引き、傘の中へと連れ戻してくれた。

「俺ん家この角曲がったらすぐだから、ここでいいぞ」
あれから舞い上がってしまい、何を話たかよく覚えてないが、どうやらここでお別れのようだ。
もう少し一緒に居たい。
「回り道させてワルかったな。ありがと」
「あの…雨まだ降ってるんで、家の前まで送ります」
「でもな〜」
「回り道の継いでです」
「そっかぁ?ならお願いしようかな」
「はい」
すぐだと言っていたのに、100b位はあった。
「ホントにありがとな。助かったよ」
「いえ…」
へぇ〜 ここが木吉先輩の家か。
確かに学校から近い。
「そうだ、ちょっと待っててくれ」
木吉先輩は家に入り、暫くしてから出てきた。
「これ今日のお礼」
そう言って俺にどら焼きをくれた。
「ありがとうございます」
「じゃ また明日な」
「はい」
木吉先輩は家に戻っていった。
貰ったどら焼きを鞄に入れ、俺は歩き出した。
さっきまで木吉先輩の握っていた傘の柄の部分が暖かかく感じた。
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