誠凛高校

□早く帰ってこい
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―なぁ木吉、今年も桜がキレイに咲いたぞ―
校庭の桜並木を見上げながら俺はそう語りかけた。

『後のことは頼んだぞ』

見送りに行ったあの日、オマエはそう言ってアメリカへと旅立った。
オマエは何時ものように軽い気持ちで言ったかもしれないが、俺にはオマエがもう帰って来ない気がしてならなかった。
オマエは何時だってそうだ。こっちの気持ちがすべてわかったような態度を見せながらも、発言はどこかズレていた。
退院して初めて部活に来たあの日の帰りだってそうだ。オマエはこうなることが分かっていたかのように言ったんだ。

『今年は見れなかったが、来年はこの桜見れるといいんだがな』

どこか遠い目をしてたのに違和感があったが、その時は気にしなかった。
今思えば、オマエは来年も見れないこと知ってたんだな。

俺は携帯で桜の写真を撮った。
後で木吉に送ってやろう。
―早く帰ってこい。みんな待ってるぞ―
と言うメッセージと共に。


【終】

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