白と黒の姫君

□第5夜。吹雪と祈り
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ラビが気絶したアレンを担ぎ、5人は小屋へと向かっていた。


アレンがゆっくりと目を開ける。


「…ん」


「アレン。気がついたさ?」


ラビの声に、前を歩いていた少女と男性、そして神田が振り向いた。


「良かった。大丈夫ですか?」


「すみません、ラビ。自分で歩け…うわっ」


ラビにおぶわれていることを知ったアレンは慌て、その拍子にラビの背から落ちてしまう。


「ダイジョブ?」


「あ、はい」


「ほらよ」


ラビが手を差し出す。


「すみません…」


前で神田が「モヤシめ」と呟いていたのはきっと誰にも聞こえていなかったのだろう。









小屋の中。外はかなり酷い吹雪になっている。


「熱い!冷やしたほうが良いかもしれないわ」


「あ、いえ、平気です」


「無理することないさ〜」


そこで神田が呟く。


「情けない。1匹もアクマを倒せなかったのか。見つけたら逃がすな、殲滅しろ」


今度はさっきと違って皆の耳に届いた。


「容赦ねぇな〜ユウ。アクマにも、仕事仲間にも」


「探索部隊のミヒャエルさんは?」


「置いてきた」


きっぱりと言い捨てる神田さん。


「仮にも探索部隊だ。自分のことは自分でどうにかする」


「そんな…」


アレンが思わず立ち上がったとき、小屋のドアが開いた。


入ってきたのは正に探索部隊のミヒャエルさん。


「ミヒャエル!!」


「丁度噂してたところさ」


「小屋の明かりが見えたもので…」


「さっすが〜」


アレンもラビもほっとしたようだ。


「よかった。」


「ありがとう」


「小屋の周辺でアクマを見かけたか」


「いいえ」


「先に行ったか…」


そう呟いた神田は立ち上がって六幻を手に取った。


「俺も行く。あいつらより前にイノセンスを回収する」


「ユウ、俺も行くさ」


すると男性が自分も行くと言うように歩いてきた。


「また遭難する気か」


「俺に構うな」


「父さんが行くなら、私も行く!」


「娘が巻き添えになってもいいのか」


「この吹雪の中、夜は危険です」


アレンがそう注意して、ラビが手をアレンの頭の上に乗せる。


「ん〜じゃあアレンは此処で留守番!その体じゃ辛いだろ?2人を頼むな」


「はい…」


「では、私も此処で待機しています」








「じゃあ行ってくるさ」


「ラビ、神田、ノイズを…」


アレンが拳を握り締めて言った。


「分かってる。見つけてくるさ!!な、ユウ」


「知らん」








「仲良く遠足さ〜」


「煩い」


「つれないさ〜ユウは」


「黙れ」


こうしてラビと神田の楽しい遠足が始まったのでした(ぇ









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