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□雪と空とあなたが。
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二日前に降ったであろう雪は、ふりたてよりも汚れて土色を含んで汚かった。
そのうえ水分も多く持っていて凍っているから降ったその日より何倍も滑りやすい。
その上を大荷物にキャリーケースを引いて歩くのは自殺行為に等しかった。
滑り止めのないローファーで、滑らないように、滑らないように一歩一歩踏みしめて歩く。
転ばないように、一歩に力といっぱいの注意をのせて、また一歩。
歩くのに神経を使って少し疲れてきたので、見えてきた小さなバス停のベンチに荷物をおいて空を見上げた。
「、ふぅ・・・」
キンキンに冷えた、雲ひとつない岩鳶町の早朝のそらが、新しい生活のはじまりを感じさせた。
『雪と空とあなたが。』