鳥籠

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目を開けてみたらそこは、知らない薄暗い部屋で横たわっていた――







いつも通り私は学校に登校した。



友達もそれなりにいて、普段通りの平凡な生活をしていた。



部活には入ってないから、そのまま家に帰っていたけど―――....





そこで私の記憶はブチッと途切れていた。



何があったのかもわからない。



思い出そうとするけど、ズキズキと頭が割れそうな程激しい頭痛に襲われる。



一体ここはどこなのか。



立ち上がろうとすると、ジャラ、と金属の音が足元からする。



目を左の足首に向けると、そこには足枷が取り付けられていた。







「....意味わかんない。」








はぁ、とため息を一つつき、上げた腰を再び床に落とした。




気がついたときは部屋は真っ暗で辺りは見えなかったが、今は目が慣れて辺りの物が大体見えるようになった。




周りを見渡すと一つ空いている窓があった。



その窓にはレースとカーテンが付いていて、今はレースだけしてあった。


レースは風に静かに揺らされている。



外の景色が見たい。



ここがどこなのかを知りたい。



そう思い窓の方へ向かいたかったが、足枷が邪魔でそれは無理だった。



たった数十センチの距離なのだが。



動くことを諦めて壁に凭れかけた。




その時、ドアノブがガチャ、と回りドアが開いた。



ドアの方に目を向けると、一人の男が入ってきた。







男「あ、起きた?ちょうど良かったね。
ごめんねー、一人にさせて。ちょっとひと仕事終わらせてきたんだ」




男はそう言って私の前にしゃがんだ。




「....あなた、誰」


男「やだなー、まだ寝ぼけてる?」






バシッ







「イッ....」











男は笑顔のまま私の頬を叩いた。









男「俺のこと、覚えてないわけないよね」











男は笑って私の顔を掴む。



私は怯えた表情を男に向ける。




この男は私のことを知っているみたいだけど、私はこの人のこと何も知らない。





今が初対面のはず....。





なのになんで、この人は私を知っている....?













男「名前、呼んでよ。」


「だから、知らない....」






バシッ






「ッ.....」











男は顔一つ変えず、私の頬をまた叩いた。












男「んー、薬が効きすぎちゃって記憶が混乱しちゃってるのかなー?
けどさ、俺と奈々って付き合い長いんだから名前ぐらい覚えててよ」



「.....ごめんなさい」







私は怯えた表情のまま男に謝った。








(薬って、何....)







頭の中に一つ疑問が湧いたが直ぐに考えられなくなった。












男「悪い子にはお仕置きが必要だよね」














そう言って男は私の頬を打ちまくった。






何回打たれたのかわからないが、頬は赤くはれ上がっていた。



打ち終わる頃にはもう、痛みは何も感じなくなっていた。



口元からは血が出ていた。











男「軽いお仕置きだったけど、これぐらい平気だよね?
というか、お仕置きを受けるようなことをさせた奈々が悪いんだもんな?
仕方ないよね?」



「....はい」



男「仕方ないから俺の名前、教えてあげるよ。
黒野涼、だから。二度と忘れんなよ?」



「....はい」



黒「ねぇ、名前呼んで?
.....何時もみたいにさ、涼って」



「.......涼..」



黒「いい子だね、奈々」












涼は笑顔で私の頭を撫でる。












黒「枷、外してやるよ。
足、貸して」













涼に言われた通り、左足を涼の方へ向けた。


涼はポケットから鍵を取り出し、枷を外してくれた。











「....ありがとう、ございます」


涼「なんで敬語?タメで話してよ」


「わかった...」











涼は立ち上がり、部屋の電気をつけた。




無機質な白いベットが窓際に置いてあるだけの、寂しい部屋だった。











涼「ここ、奈々の部屋ね。
何か他に欲しいものがあったら、遠慮なく言ってよ。
最近買ったばかりの家だからさ、これだけしか揃えることができなかったんだよね。
ごめんね?」


「いや...大丈夫...」









部屋....?



私の....?



家族がいる私の家は?



両親はこのこと知ってる?



この人のこと、何か知ってる?






頭の中はパニック状態だ。



何かまた変なことを言えば、この涼って男に殴られるかもしれない。


けど、状況を把握したい。


できるだけ、詳しく。
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