溺愛

□俺だけの『彼女』
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俺の名前は河瀬直樹。



至って普通な高校2年。



部活は一応入っているけど、楽しくはない。



でも、それは『彼女』の為――



『彼女』と言っても、恋人同士ではない。



いずれ、本物の彼女にするけど。



その『彼女』の名前は河野陽香。



優しくて可愛い幼馴染、俺の愛しい人。



俺と『彼女』の家は同じ道路沿いにある。



家が近くて小さい頃はいつも遊んでいた。



『彼女』が家を出る時間はいつも決まっていて6時50分。


俺もそれに合わせて家を出る。



ストーカー。



周りからはそう見えるかもしれない。


けど俺は、『彼女』に危険がないか見守っているだけで何も危害を加えてはいない。




『彼女』が俺の家の前を通る、俺は少ししてから家を出る。



だけど、『彼女』は俺の存在に気づいた。



本当だったらいつものように後ろから付いていくんだけど。





陽「あ、直樹おはよー!」



「陽香、おはよ。
偶然だな。」




本当は偶然なんかじゃないけど。




陽「そうだね、一緒に行かない?」



「ああ」



ダルそうに答えたけど内心は心躍った。





――...


陽「それでネルちゃんがね、転げちゃったの」


「はは...相変わらずドジだな」






今、『彼女』の飼っているネルという猫の話をしている。


『彼女』との話は本当に楽しい。


他の奴らとの会話なんぞと比べ物にならない程に。






陽「そいえば、直樹は彼女作らないの?」


「作りたいってか好きな子はいるけどね」


陽「え、誰々!?」


「....秘密」


陽「えー..」







眉を下げてしょんぼりしている。


ああ...その顔も本当に可愛い。


君は本当に俺の心を掴むのが上手だね。







好きな子が「君だよ」、なんて言いたいけどまだダメだよ。


でも、俺の彼女になったら嫌になるほど言ってあげるからそれまで我慢してなよ。


焦らなくても大丈夫。


俺は君のモノでしかないから...。


大好きだよ。





【俺だけの『彼女』】

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