汐の本棚

□さぼてん
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 温室の暖められた空気と晴天から降り注ぐ日差しが眠気を誘う。藤川蓮太は大きくあくびをした。
「先生、ちょっとは働いてよ」
「太陽、そういうのは部員の仕事だ。俺は顧問。以上」
育てている植物に水をやりながら、浅間太陽は藤川をあきれて見た。
藤川は目を擦りながら煙草とライターを取り出した。「あ、ちょっと禁煙」
「わかってるよ」藤川はビニールハウスを抜け出し、花壇の端に腰を掛けた。
外の空気はまだ冷たい。

 紫煙をなびかせ、肌に触れる風の強さに目を瞑った。
「寒いよ。閉めてよ先生」
「お前が出てこーい」
浅間はジョウロを置き、外へでて入り口を閉めた。
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