汐の本棚

□てがみ
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 「ただいま、にいさん」燈也が玄関を開けると、栗色の癖毛をなびかせた、端整な顔立ちの男が立っていた。
「はい、これお土産」
「お帰り義秀。ありがとう」
燈也は紙袋を受け取り、義秀に微笑を向けた。
「前もって言ってくれれば迎えにいったのに」
燈也は義秀を迎え入れながら言った。
「ごめん、にいさんを驚かせたかったから」
コートを脱ぎ、義秀は燈也に笑いかけた。
「にいさん、会いたかった」
義秀の言葉に、燈也は困ったように笑った。
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