デュラララ夢小説
□【第五章・黒の少女、迷走】
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――――帝人side――――
睦月さんが大怪我をしたと、聞いたのは三日前のことだった。
チャットで甘楽さん…もとい臨也さんに教えてもらったのだ。
その次の日に、正臣が大ニュース!と騒いでいた。
内容はやっぱり睦月さんのことだった。
あの、自動喧嘩人形…平和島静雄さんが投げた標識に当たっただなんて…。
それは確かに大怪我もするよ。
というか、なんで今まで無事だったんだろう。
帝人「睦月さん、大丈夫かな…」
僕は学校からの帰り道、ぼそっとつぶやいた。
正臣「ん?」
本当に小さな声でつぶやいたはずなのに、隣で歩いていた正臣は気づいたようだ。
正臣「いくら考えてたって無駄だっつの」
正臣は睦月さんを思っているのか少し辛そうな表情で応えた。
正臣「雪乃はそう簡単に死にそうにないって。まず平和島静雄がこの世にいる限り、幽霊になってでもこの世にとどまり続けそう…ってリアルにありそうで怖いなー」
茶化したような明るい口調で、正臣が僕のことを励まそうというのが伺える。
気を遣わせちゃったかな。
実際怪我をしたのは睦月さんなんだから、僕がメソメソしてても仕方ない。
正臣「んー、でも俺も雪乃のこと心配だしな…。いっそのこと雪乃の家に行ってみるか!」
・・・・・・どうしよう、いつの間にか正臣が暴走しちゃってるよ。
どういう経緯で睦月さんの家に行くことに・・・?
というか、睦月さんの住所知ってるの?
帝人「手当たり次第に探すのは却下だからね」
以前に正臣が提案したむちゃくちゃな案を思い出す。
―――平和島静雄に告白をしたらしい女子高生を手当たり次第に探す。
つい先日のことなのだが、ずいぶん前に感じられる。
正臣の無茶な案だと最初のうちは思っていたが現実は意外に面白いもので、どんな偶然かその女子高生・・・睦月雪乃さんに出会った。
あれは本当に色々な偶然が噛み合わさったものだ。
奇跡に近い。
睦月さんの家を手当たり次第に探すのは、あの時と同じくらいの奇跡が起こらないかぎり不可能だ。
正臣「まぁまぁ。事実は小説よりも奇なり・・・だぜ!」
帝人「・・・・・・はぁ」