BLEACH夢小説

□episode6
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―――冬獅郎side―――






乱菊「たーいちょー」



冬獅郎「なんだ」



俺は大量の書類を片付けながら松本に返事をする。



つかお前も仕事しろ。



乱菊「隊長ってば、現世へ視察に行った時からなんか様子が変じゃありません?」




ピクッ。



松本の言葉に、筆の動きが止まる。



現世か・・・。



俺が思い浮かべたのは、大雪の中独りポツンと佇んでいた少女。



彼女はすでに死んでいた。



それに彼女も気づいていた。



虚に襲われていたから助け、尸魂界に送ろうとした。



いつも通りの行動だ。



そして、睦月が泣いた。



現世に未練があるという。



現世にとどまっている魂は大体が未練がある。



だから別段驚きはしない。



むしろ彼女はその中でも冷静な方だ。



ただ、俺は別のことに驚いていた。



無意識に彼女の涙を拭ったり、頭を撫でたり。



いつもの俺ならそんなことは決してしないだろう。



さらに変なのは、もっとこいつのそばにいたいと思ったこと。



冬獅郎「・・・・・・あいつ、最後笑ってたな」



俺が今まで見た笑顔の中で一番綺麗な笑顔だった。



乱菊「え?隊長なんかいいました?」



冬獅郎「いや、なんでもねぇ」




もう一度、あいつに会ってみたい。



もう一度、あいつと話してみたい。



もう一度、あいつの笑顔を見たい。





けど、それは叶わない願いだよな。



俺は死神の隊長で。



あいつはただの魂魄。



おそらく今は流魂街の住民になってるだろう。



もう二度と会うことも話すことも笑顔をみることもない。



冬獅郎「はぁ…」



乱菊「…ははぁ〜ん?もしかして隊長ってば恋煩いですかぁ?」



松本は口元を手で押さえながら聞いてくる。



ニヤニヤ隠しきれてねぇぞ。



冬獅郎「何バカなこと言ってんだ。さっさと仕事しろ」



松本の馬鹿な質問を一蹴する。



乱菊「ブーブー。隊長冷たいー」



口を尖らせながら不満を言ってくるので、俺は自分の斬魄刀に手をかけた。



冬獅郎「そうか、そんなに氷輪丸が望みなら・・・」



乱菊「ウソウソウソです!それは冗談に取れないのでやめてくださいね!?」



冷や汗をかくくらいなら、最初から仕事をしろ。



まったく、誰が恋煩いだ。



誰が・・・。

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