銀魂夢小説
□第十二訓
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朝、小鳥たちがさえずり合いピーチクパーチク鳴いてる頃。
雪乃は自室で爆睡していた。
雪乃の部屋は意外にファンシーなものが多い。
あのズバズバとした快活な性格に反していると言われればそうだが、家出編のことを思い出してみよう。
皆さんはもうすっかりお忘れかもしれないが、思い出してみよう。
意地でも思い出し・・・・・・・・・・思い出せなかった場合はもう一度読んでみてね☆
とまぁ、彼女は不気味な猫のぬいぐるみを持っていたわけだが。
家出編により総悟からプレゼントされたうさぎのぬいぐるみもたいそう大事にしている。
うさぎのぬいぐるみにギンと名前をつけているのは内緒だ。
雪乃は『別に他意はない他意はない、なんとなく銀さんに似てるだけだから。いやだからといって銀さんの名前をもじったわけでもなんでもないから。なんとなくそんな名前になっただけだから。全然関係ないから』と主張しているが。
どちらにしろ誰にもうさぎのぬいぐるみの名前は明かされていないのだから、弁解も何もない。
そしてそのぬいぐるみの他にもちょこちょこぬいぐるみや人形が置いてある。
そのどれもが微妙なセンスなので、はっきり言ってファンシーな部屋というか不気味な部屋に変わっている。
暗闇でこの部屋をいきなり見せられたら発狂物である。
他にもこの部屋が変わっている理由がある。
それは雪乃がかたくなに誰にも見せない箱だ。
箱・・・・というよりもその中身だ。
高そうな木箱は長方形でもってみるととても重い。
何が入っているのか、以前近藤・土方・沖田・山崎の四人は気になったことがある。
武州にいた頃からずっと大切に抱えていた箱だ。
あまりにも重いので本人は引きずるか、上記の四名に運ばせるかで移動させていた。
四人は誰にも中身を見せようとしない。
雪乃に逆に気になってしまう。
見るなと言われると見たくなるアレだ。
そして四人は雪乃がいない隙を見計らって見たことがある。
その、箱の中身を。
決して開けてはいけないと言われたパンドラの匣を。
木箱の厳重すぎる箱を開けるとそこには――――――。
大量の包丁が入っていた。
ズラリと丁寧に並べてある包丁はどれもよく研がれていて、切れ味はそこらの日本刀よりも良さそうだった。
しかし、その木箱の中にはところどころ何故か血がついていたり、包丁のいくつかには血がついていたり・・・・・・した。
全ての包丁がよく使い込まれているのを確認した四人は、顔を青くした。
この頃はまだ雪乃も七歳で純粋な子供である年だ。
今はまぁ凶暴な性格だが、七歳にして包丁をいくつも所持しているという恐ろしい出来事に四人は箱の中身を見なかったことにした。
しかし四人は知らない。
その箱の底が実は二重になっていて、その中身こそが雪乃が本当に見られたくなかったものだということを。
包丁はそのためのカモフラージュで、それがいつしか雪乃自身も包丁を武器として扱うようになったのだ。
本来包丁は武器ではないが、雪乃にそこのところの常識は一切ない。
(それはいつしか暴かれてしまう秘密)
(箱の中身は誰にも知られたくないから)