銀魂夢小説
□第十一訓
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「近藤さんがいない?」
それはある暑い日のことだった。
これから本格的に夏になるようで、今年一番の夏とか言っちゃってるお天気お姉さんも汗だくだった。
朝からムシムシムシムシ。
たっているだけで汗がダラダラ流れていくという事態だけでもイラつくというのにあのゴリラは何をしでかしてんだ。
私が自室で始末書(主に総悟がやらかしたやつ)を片付けていたとき、突然そんな報せが入った。
「はい。屯所中を探し回ったのですが、局長の姿はもちろん影すら掴めないんですよ」
真選組一の地味さで讃えられる彼、山崎退は同じく真選組一の監察だ。
むしろ地味でないと監察なんて仕事は務まらないと思うが。
その彼が、あの半ゴリラ化している近藤さんを見つけられないはずがない。
それはつまり、屯所には絶対いないということ。
「なんか監察のザキに探し回されるって犯罪者みたいだね」
「何言ってんですか。あのゴリラはすでにストーカーという犯罪者ですよ」
「あー、確かに・・・・・・ん?ストーカーなんだからお妙さんのところにいるんじゃないの?」
勤務中以外は・・・いや勤務中であろうとストーカー業に精を出すあのゴリラ野郎なら今頃お妙さんのところじゃないだろうか。
しかしそんないつものこと、ザキが気づかないわけでもないし私にわざわざ言いに来ることでもないだろう。
「それが姐さんのところにも行ったんですけど、局長は来てなくて・・・。それどころか今日は全く来ていないらしいんです」
へー、毎日お妙さんに会いに行ってた近藤さんが珍しい。
「・・・今日は近藤さん非番じゃないから、総悟じゃないんだからあてもなく街を彷徨くわけないし。あれれ?」
「念のため街の方も探してみたんですが、見つからないんですよ」
真選組のトップがいないからだろう、不安そうなザキの顔。
「つまり現状ではなんの情報もなし。真選組局長は行方不明ってわけね」
私は筆を置き、始末書の束を掴む。
「このこと、他の隊士には?」
「いえ。騒ぎになると困るかと思ったのでまず会計長に」
「会長だボケ。まあその判断は間違いではないよ。でもなんで一番頼りになりそうな土方さんに言わないのさ。そういうゴリラ回収係みたいな雑用はマヨにやってもらおうよ」
「それが副長は今体調を崩されているみたいで・・・」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「・・・・・・は?」