銀魂夢小説
□第六訓
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「会計長ォオオオ!!」
大声を上げ焦った顔で私こと睦月雪乃の部屋に勢いよく入ってきたのは、真選組監察の山崎退。
地味地味だと言われているが、世間的に見ればまあまあ普通にいい顔なんじゃない?って思うぐらいの顔。
雪乃的には、総悟や土方さんのようなイケメンという顔よりもこちらの方が愛嬌があって好きだ。
しかし雪乃は無断で自室に入ってきやがった地味を処罰するとき、そこに一切の情は……ないっ!!
「テメェェェ!ザキ!私の部屋にノックも無しに入んなって何回言えばわかるんだ!!ああん!?あと、私のことは会長と呼べ!!」
そう叫びながら、自称会長の睦月雪乃は山崎退を蹴り飛ばした。
「ゲフゥゥっ!……か、かいけ………会長…(←言い直した)」
「何?」
悶絶する山崎を一瞥し、興味なさそうに座り直した雪乃。
鬼畜だと山崎は心の中で思ったが、今更だと思い直す。
「やっぱ始末しとくか」
懐から包丁を抜き出した雪乃。
その瞳には殺意が含まれている。
それを察知した山崎。
「な、なんでですかァ!?(え?どこから包丁取り出してんのこの人)」
「だって、絶対心の中で私に失言したろ。わかるんだよ。だって私エスパーだもん」
「いや、意味分かりませんって。だいたいアンタ会長じゃないでしょ。会計長でしょ。会長だと近藤さんより偉くなっちゃいますよ」
「だからこそだろ」
「……え」
今の雪乃の発言を山崎は聞かなかったことにした。
でないと、なんかやばい気がしたから。
本能である。
「で?なんか用があったんでしょ?」
「あ、はい。今日渡された自分の給料についてなんですけど…」
「はぁ…あのさぁ……給料が低いとか言うのやめてよ?こちとら公共物破壊しまくる奴らのおかげで予算がやばいんだって。あと、なんか理由とかあって次の給料分を今月分に回すとかそういう相談は一か月前に言えって言ってんじゃん」
「いえ、あの…給料が低いって次元を超えてるんですけど。給料二百四十円ってなんですか。お小遣いレベルじゃないですか。最近の子供でももうちょっと貰ってますよ」
「だってェ、ちょっと前に規格外の支出があったんだもん。土方の給料から引こうとか思ってたけどマジでやると、ぶった斬られるんだよ〜。困ったよねェ」
「困ってんのはこっちだ!!二百四十円ってホントになんだよ!ジャンプしか買えねぇじゃん!」
「ばっか。んまい棒二十四本買えるじゃんかよ。あと隊士がジャンプ読むのは御法度だよ。【第十二条 マガジン以外の漫画局内で読む事なかれ】って局中法度で定められてますゥ」
「うわ、ムカつく。すんごいムカつく。しかもだいたいそれって副長がマガジン派だからでしょう?」
「くっだらないよねぇ。私ジャンプ派なんだけどなぁ」
「いやそれもくだらないです。なんでもいいですけど、それ風紀と関係ないじゃないですか」
「ねー。土方さんってホントアンポンタンなんだから」
「はいはい……じゃなくてェ!!俺の給料二百四十円はさすがに厳しいですって!」
「細かいなぁ…」
「細かくねェよ。全然細かくねェよ。死活問題だよ」
「んじゃ、土方さんから奪ってくれば?」
「……え?」
(それにしても神楽ちゃんよく食べたなぁ…本当に予想外過ぎた。新八君の言うこと少し聞いとけばよかったよ。おかげで財布が空っぽ。ザキの給料横領したって言ったら怒られるかなぁ…)
(※横領は犯罪です)