ぬらりひょんの孫夢小説 弐
□番外編IFシリーズ〜山吹〜
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それはどこかで感じたことのある温かさだった。
ゆらゆら揺れている。
生温かい水に包まれているような感覚。
こんな感覚は二度目だ。
いや、自身が覚えていない頃を合わせると三度目だろうか。
どこか懐かしいと感じてしまうこの感覚は・・・・・・。
妙な安心感があるここは、以前と全く変わらない。
(ここは、どこだ?)
意識がはっきりし始め、この状況に既視感を覚えた。
瞼を開けているつもりなのに、そこに広がるは闇ばかり。
天と地の感覚さえ曖昧で、自身の体を動かそうにも上手く動いてくれない。
(は?・・・・・・いやいやいやまさか。だって俺死んだじゃん。羽衣狐に殺されたじゃん。あんなにかっこいい感じに死んだじゃん!)
うまく動かない首を少しずつ傾けて辺りを見回すが、どこまで行っても暗闇しかなかった。
以前にも同じ体験をしたことがあるだけに、まさかの事態が桜生を追い詰めた。
(おいおいおい。え?マジで?ここってアレだよね?母体の中だよね?俺ってまた赤ん坊なわけ?それって・・・・・・また転生ですか?)
体が締められるような、嫌な感覚を覚えた。
比例するように、頭がガンガンと痛み出し俺は眉を寄せる。
実際寄せれたかは不明だが。
しかし、その謎の苦しみにより疑問は確証に変わった。
(マジだ!俺また記憶持ったまま転生すんの!?今度はどこだよ!せめて危険がないところがいいな!姉上のところは幸せだったけどまた妖怪とドンパチなんて世界は嫌だぞ俺は)
だんだんと苦しさが増す世界で、既に体験済みだからか冷静な俺。
そして前回と同じなら、光の・・・つまり外に通じるところがあるはずだと辺りを見回す。
すると、一筋の光を見つけた。
(・・・出口だ。今度こそ長生きしたいなー。前回は12歳で死んだし、前々回は20歳でわけもわからず途中退場だったからな。今度こそは長命でありますように)
俺は光へ手を伸ばす。
何かに引っ張られるような感触・・・・・・そして、光に包まれた。