ぬらりひょんの孫夢小説

□第八に
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〈花開院是光 side〉




今日から、ある公家の警護にあたることになった。




花開院といえば、それなりの由緒正しい陰陽師の家系だ。




その花開院に守ってほしい家・・・というよりある姫。




これが訳ありで、治癒の力という類まれなる力を持つ娘だそうだ。




傍から見ても父親から利用される哀れな姫ということがうかがい知れた。




そして、その姫の弟である桜生。




彼は、自身の目から見ても異才だった。




おそらくあの姫よりも我々と異なる存在だ。




雇われの身の陰陽師に、次期公家の当主が頭を下げたりかしこまったり普通の・・・しかも七歳の子供はしない。




頭がキレる、という噂は聞いていたがこれは別次元のような気がする。




頭がいい、悪いではない。




すでに大人なのだ。




自分のことを七歳のガキと言っていたが、とんでもない。




それを自覚している七歳のガキがいてたまるか。




予想外の行動しかしない方だった。




自身の弟の秀元も奇想天外だが、彼も同じ類か。




いや、それは彼に失礼すぎだろう。




奇想天外はまだしも、秀元と並べるなどありえん。




力が無いと、弱いと言っていた彼は・・・あの姫を守れないことに責任を感じているのだろうか。




たかが七歳の子供が。




姉を守りたいと、そのために父親から当主の座を奪いたいなどと。




あまりにも悲しいではないか。




子供なら子供らしく笑えばいい、泣けばいい。




どうして、あんな大人のような顔をするのだろうか。




環境が彼を変えてしまったのだろうか。




だとしても、いくら彼が大人のようでも。




まだ子供だ。




優しいと言ったとき、照れた様子は本当に素直で可愛らしかった。




その反応も子供としてはいかがなものかと思うが、次期当主としている時よりずっと素らしかった。




だから、彼が子供でいられるようにこの花開院是光が支えよう。守ろう。




彼が笑顔で、過ごせるように。




子供になれるように。

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