ぬらりひょんの孫夢小説

□第一に
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光の先は外だった。




外、と言っても屋内だが。




だがそれがおかしいのだ。




現代ではなかなか見られない日本家屋だったのだ。




おかしいことはそれだけではない。




むしろそれどころではない。




私を引っ張り上げてくれたのはどうやらお医者さんらしいが、これまた珍しく和服なんて来ている。




お医者さんだけではない。




周りにいる人たち全員着物だ。




そして、ここからが一番大事だ。




うまく動かない片手を上げると、視界の端に小さくふっくらとした白い手が見える。




だが私の手ではない。




一生懸命手を上下左右に動かす。




同時に、視界の端にさっきと同じ手が上下左右に動いた。




わ、私の手ではない・・・っ。




・・・代わりにもう片方の手を動かしてみた。




さっきの手と同じような手が動いていた。




・・・・・・・・・。




(・・・・・・)




しばらく固まっていると、今度は着物を着た大人の人たちがざわざわと騒ぎ出す。




「おいっ。産声をあげぬぞ!息をしているのか!」




(・・・・・・産声?)




嫌な予感が脳裏を猛スピードで掠めていった。




「はい。息はしておりますが・・・」




お医者さんが私を抱えて、トントンと背中を軽く叩いた。




(・・・・・・私を・・・抱えて?)




重いとは思っていないが、軽いわけでもない。




むしろ成人した私なんてこんなに軽々と抱えられるはずがない。




「・・・あ・・・・・・、私の・・・私の子は・・・」




今まで見えていなかったが、背後にはぐったりとした様子の女の人が横たわっていた。




(・・・え?・・・・・・私の、子?)




「お元気で御座います。奥方様もよう頑張りましたなぁ。安心してお休みくだされ」




「あぁ・・・よかった・・・」




お医者さんの言葉に安心したのか、深い眠りへついた女性。




(・・・待て。待て待て待て待てェェエエ!!)




この状況。




私の手。




子供。




(それって・・・それって・・・っ)




まさかの出来事に驚きからか、目元に涙が浮かんできた。




そして私は大声で、叫んだ。




「おぎゃああああああああああああああ!!!(嘘だろぉぉぉぉぉおおおおお!!!?)」

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