銀魂夢小説
□第八訓
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「暇ですね」
開口一番に何言ってんだ居候娘と思わなくもないが、確かに暇だ。
俺ァ、みんな大好き銀さんだ。
つい最近真選組会計長が家出をして、ここ万事屋に転がり込んできたわけだが。
仕事がねェ。
いや、いつものことだ。
俺らはこんな暇慣れっこ慣れっこ。
しかし、いつも働きすぎの雪乃ちゃんはこの時間が暇で仕方ないらしい。
「んなこと言ってもよォ。依頼がこないんだから仕方ねェだろ」
「そっか。近藤さんたちがあんな大人になるなよって口酸っぱく言ってたのはこういう事か」
「どういう事だコノヤロー」
居候のくせに遠慮とかそういう精神がない奴だな。
「だいたい働き過ぎなんじゃねェの?こんぐらいで丁度いいんだよ」
全国の日本人に俺ァそう伝えたい。
「全国の日本人にニートになれって言うんですか。それ日本破滅しろって言ってるもんじゃない。新八君を見てください。あんなに働いて…」
確かに新八を見ると、窓の掃除やら床拭きやらマメにやっている。
よく飽きねェもんだ。
「つかお前も新八のように働けば?暇も紛れるし」
「いやですよ。私これでも真選組では結構サボってました」
「それ自慢することじゃないですよ雪乃さん」
掃除を終えたのか、手を拭きながら新八は雪乃につっこむ。
「それでいいのか会計長」
「会計長じゃない。会長です。あと、私は重要な仕事は頑張りますが需要が低い仕事は断ります。絶対に」
「何その執着。しかも会長やめたんじゃないの?」
「真選組の会長はやめましたが、新たに万事屋の会長となりました。安心して財布を任せてください。あは」
「おいおい安心して任せられねェよ。最後の笑いの部分が余計ェ怖いっつの」
「…私が会長になるってことは、私の通帳も運命共同体ですよ銀さん?」
「何なりと、会長様」
俺は金に目がくらみ、会長様に跪いた。
「こんなんが万事屋の社長でいいんですかね雪乃さん」
新八が引いた目で見てくるが、気にしない。
「さぁ?でも私社長より偉い会長だから。安心しないさい」
「うわぁ。銀さんなんかよりずっと安心できます」
「銀さんなんかってなんだよこの駄メガネ」
(あと私結構体弱いからあんまり仕事できないんだぁ)
(おォ、嘘くせェな)
(会長様は包丁を取り出した。タラッター)
(ウォオオオ!?どっから出したんだよ!?)