物語の箱(テイルズ)

□おとな
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早く大人になりたい。
私は、ジュードのことが好きです。
こんなこと絶対に言えないけど。

ジュードから見れば、私なんかまだまだお子様なんだろう。
そんなことを思いながら宿への道を歩く。

「ジュードは、大人の女性が好きなんだよねー」
ティポの声が、響いた。
「ちょっ、ティポ!?何言ってんのさ!そんなわけ...!」
ジュードが慌てて否定する。
でも、その慌てた様子ですぐに分かった。

ジュードが好きなのは、ミラなんだって。
私は、仲間として好きなだけだって。
特別な好きとは、違う。

ティポの口を塞ぐ。
「むぐぐ...」
「言っちゃダメ、です」

大人になったら、ジュードは私のこと、好きになってくれるのかな。

ちゃんと、特別な...。

「エリーゼ?大丈夫?」
優しい声が響く。
あぁ、だから、嫌いになれない。
頷いて、ティポから手を離す。

ジュードの後ろ姿を見つめながら、私はつぶやく。
「大人になるまで、待っててくださいね...」

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