ぬらりひょんの孫

□A 運動会
2ページ/8ページ



「にぃにぃ!にぃにぃ!がんばれぇ!にぃにぃ!」

観客席の方から元気な声援が聞こえる。
開会式中なので立ち位置から離れられなかったオレは、首だけ後ろに回してその光景をみやったんだ。

「にぃに!僕ね、ちゃんと応援するよぉ!」

ああ、なんて可愛い!開会式中ということも忘れ、思わず顔を手で覆って身悶えちゃった!
だって超絶可愛いんだもんリクオが!

実は今から二年前、待望の弟リクオが産まれたんです!
もうこの可愛いさといったら、文字通り目に入れても痛くないです!つーか痒くもないです!癒されます!

毎朝「にぃに!おはよー!」って言って抱きついてくるんだよ!可愛くないわけないじゃないか!
ほら見てみろ!今だって一生懸命両手を降って!

「アキラ!頑張れー!お父さんが見ててやるぜー!」

…………あー、忘れてた。
親父もいたんだっけか。
いい歳して、恥ずかしいなぁ。
てかやめろ!そんなデカイ図体してなにやってんだよ!マジて恥ずかしい!
そんな派手な応援の仕方してる親他にいないよ!ああ、見てみろ!他の親がなんか微妙な目で見てる!
つーか母さん止めて!親父の奇行止めてよ奥さんでしょ!

「アキラ様ぁ!頑張ってくださぁい!帰ったら氷麗が美味しいかき氷作って差し上げますからねー!」

「アキラ様!後ろは俺らが守りますんで、バシンとかましてやってください!」

「おい青!アキラ様の後ろは拙僧が守る!お前はおとなしく下がっていろ!」

「なんだと黒!?俺の方が安心して後ろまかせられるに決まってんだろ!テメェはさっさと屋敷に帰って自慢の笠でも掃除するんだな!」

「貴様拙僧を愚弄する気か!?貴様こそ屋敷に帰ってその広い額を磨くんだな!」

「なんだとぉ!」

「義父さん、お茶お飲みになられますか?」

「おー、すまんな、若菜さん」

あー、みんななんで応援ごときにそんな熱心なんだよ。てかなんで青と黒はいちいち喧嘩腰なんだよ。
それと氷麗!可愛いけど今秋だからね!十一月!かき氷なんか食べたら寒くね風邪引きになっちゃうよ!
そして、お決まりのようにお茶を入れる母さんと、それを受けとるじじい。
じじい何気にインスタントカメラをスタンバってんだから、恐ろしいよ。
あとなんかインスタントってところが流石老人らしい。

ああなんか、あの一角だけお祭り騒ぎになってんなぁー。
もちろん、応援に来てるのは人形の妖怪だけなんだけどね。首無も毛嬢楼もいる。

あっ!リクオが身を乗り出した!こっちに走ってこようとしてんのか!?
っと、よかった。親父が止めてくれた。ナイス親父。

「お父さん止めないでよー!にぃにのとこ行くの!!」

「だぁめ。お前は父さんの膝の上な」

「ぶー」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ