ぬらりひょんの孫

□@ 予防注射を受ける
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ぬら組本家に、とうとうこの日がやってきた。
定期的に訪れるこの日が、目下の悩みの種である。

「ほら、アキラ。そろそろ起きて身支度しないと、お医者さんが来ちゃうでしょ」

いつもは喜んで飛び付いている母さんの声でさえも、今は聞こえないふり、聞こえないふり。
障子が開け放たれ、爽やかな朝日が部屋に差し込むが、オレの心は藻の浮かんだプールのごとく濁りきっている。
布団で身体を包み込んで完全防御体制を決め込み、あの尖った針先からの攻撃を阻止しようじゃないか。

意思を固く決めたオレは、布団の中で籠城を決め込むべく更に布を握りしめた。

「やーっ!聞こえないもん!オレ今忙しいんだもん!敵のちゅうしゃマンが攻めてくるんだ!」

「そんなこと言っちゃだめよ。お注射しないと、後から病気になって苦しい苦しいするのよ」

今日は予防注射の日です。
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