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□忘れ物
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朝練を終えた部室は騒々しかった。
1年の越前も例外ではなく一限の為に急いで部室を飛び出して行った。
そこに帽子を残して…。





「英二、どうしたの?」
「ねー不二ー。おチビ帽子忘れたみたい…。」
「珍しいね。彼には大事な帽子を忘れるなんて。」
「んにゃ!俺が届けるか!」




思い立ったらすぐ行動の菊丸は休み時間に不二を連れて1年2組の教室へ向かった。
目当てのやつは窓の側の席で寝ているからすぐに見つかった。
「おチビー‼︎ちょっと来てー‼︎」
菊丸の顔を見て寝起きの不機嫌さは一気に消えたのにその隣にいる不二を見てまた顔をしかめながらやって来た。
「何すか?珍しいっすね。あんたがここに来るなんて。」
「ぶー!何だよその態度ー!」
「越前の忘れ物を届けに来たんだよ」
「ほら!大事な帽子!忘れ物だよん♪」
菊丸は優しく帽子を被せる。
ちょっと照れたように頭を下げる越前を見て菊丸は満足そうに歩き出す。
不二は菊丸の隣を微笑みを浮かべながら二人で教室へ帰ろうとしていた。
しかし思いついたように越前は不敵に笑った。
「菊丸先輩」
「んにゃ?なーにおチビ?」
「もう一つ忘れ物しました。」
「えー!今すぐ必要かにゃ?」
「はい。ちょっと来てください。」
そう言われて近寄った菊丸の腕を軽く引き不二にしか見えないように口付けた。
「おチビ‼︎何するにゃ!」
「ご馳走様でした。」
「越前…放課後試合しようか?」
恐ろしいオーラを不二が放つ横で真っ赤な菊丸。
それを見て王子様は心底満足そうに笑っていた。
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