Bon appetit

□3話 ポーカーフェイス
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「剛くんさ…井ノ原くんの妹さんの事、好きなん?」


店を出て帰り際、不意に剛くんに話を振ってみた。



反応が見たくて聞いてみた。



俺、案外意地悪なんや。




「バカ言うなよ!」
なーんて慌てながら否定する姿を見たかった。


慌てる剛くんなんて貴重やし。



けれど剛くんの答えは意外なものやった。



「はぁ…わかる?」



深い溜息と共に返って来た肯定の言葉。



半分肩透かしを食らった気分や。



「今まで生きてきた中でさ…初めてなんだよ…こんなの…」



「へぇ…」


なんていうか…意外な気がした。



メンバーの恋愛事情は正直よくわからない。


初めてメンバーから聞かされた恋の話。



しかもまさかその初めてが剛くんになるとは思いもしなかったし、こんな風に初めての恋のように戸惑うなんて思いもせんかった。


実際、相当モテるやろし…



「彼氏いるのかなぁ…でもあんだけかわいいと居ない方が不思議だよなぁ…はぁ…」



「まぁ…確かに…」


確かに綺麗な子やし、気も効く子やった。


あれは普通に男はほっとかんやろなぁ…



「どうやろなぁ…」



健くんあたりならズバスバ聞けそうな気もするんだけど…





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