Bon appetit
□3話 ポーカーフェイス
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「うまっ!」
ついつい前菜を口にして出た一言だった。
井ノ原くんの妹という色眼鏡なしでお世辞抜きに美味いと感じた。
妹さんはそんな俺に笑顔を向けた。
「それにしても…似てないね?」
「あ…お兄ちゃんとですか?よく言われるんですよ。髪の長いお兄ちゃんと同じ顔の人が出てくるんじゃないかって…」
「ははは…悪いけど俺もそう思った…」
笑いながら横に視線をやると、剛くんは妹さんをじーっとただ見つめていた。
なんや…相当疲れとるんか…?
「森田さんも同じ事思ってませんでした?」
と、彼女が剛くんに不意に話を振ると…
「えっ?えっ?えーと…えーと…」
と、急に話を振られたのに驚いたのか変に取り乱していた。
ははぁ…そういう事ですか…
なんとなく剛くんの気持ちが読み取れた気がした。
ポーカーフェイスな癖に結構わかりやすいよな…