Bon appetit
□3話 ポーカーフェイス
5ページ/10ページ
「いらっしゃいませー。あ!こんばんは!」
今日はお客さんの入りが遅いようで、開店して1時間程した頃、初めてのお客さんがやって来た。
やって来たのは岡田さんと森田さんだった。
「はじめまして。岡田です。開店おめでとうございます」
手渡されたフラワーバスケットから優しい花の香りが漂った。
「わぁ…かわいい…ありがとうございます。井ノ原快彦の妹の井ノ原名無しさんと申します。いつも兄がお世話になってます。あと、わざわざいらして頂いてありがとうございます」
それにしても…岡田さんってこんな男っぽかったっけ?
もっとかわいらしかったイメージがあった。
7年振りに目にした岡田さんは、私が知ってる岡田さんとは別人の様に逞しく、そして男らしい印象を受けた。
「森田さん、またいらして頂いてありがとうございます!!」
視線を森田さんに移し、挨拶を交わすと…
凄いクマ…
「あの…凄いクマ…大丈夫ですか?」
と、つい口から出てしまった。
すると…
「だ…だ…大丈夫!」
と、何故か声を裏返して顔を隠す様に手で覆った。
いや…大丈夫じゃないでしょ…
とりあえず私はお二人を席に案内して、キッチンに向かった。