Bon appetit
□3話 ポーカーフェイス
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「あの…すいません。開店祝いで花贈りたいんですけど…」
「かしこまりました。どのようなお店ですか?」
「えっと…カフェ兼バーのような…」
井ノ原くんからの電話の内容を俺は必死に思い出していた。
夕方から開く店で、店長さんは井ノ原くんの妹さん。
そしてその電話の最後に言われた言葉もふと思い出した…
「岡田。ちなみに…俺と似てねーからな。剛と健が妹が俺と同じ顔なんじゃねーかって笑いやがったから先に言っとく」
確かに俺も想像してた。
井ノ原くん曰く、井ノ原くんはお父さん似で、妹さんはお母さん似らしい。
花が出来上がるのを俺は居心地悪く、店の端っこでソワソワと待っていた。
花屋なんて来た事ねーんだもん。
にしても…腹減った…
夕方まで立て続けに仕事で朝飯はおろか昼飯も食えてへんのや。
そういえば一足先に店に行った長野くんは…
「本当美味しかったよ!お世辞抜きで!」
と、言っていた。
あの人が言うなら間違いない。
自然と期待値は高まった。