黒バス

□モデルのマイブーム
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俺は今日、初めて首を絞めた。しかも自分の首を。
特別な理由があったわけじゃない。
ただ、どんな感じなのか気になったのだ。どのくらい苦しいのかとか、どんな感触なのかとか。
まあ、簡単に言えば好奇心。首絞めたらどんなかな、みたいな。
やってみて思ったことは、意外とハマるってこと。本気で絞めなければ死なないし、自分で調節できるから痛みもないし。
なにより、結構気持ちいいし。

だから、教えてあげたくなっちゃって。


部活が終わってから先輩に教えてあげようって思った。どんな反応をするか、色々想像してたらちょっと感じた。
俺ってもしかしたら変態なのかもしれない。
とにかく、そんなこんなで部活中はあまり集中できなかった。

そして、部活動終了後の部室にて。
丁度俺と笠松先輩しかいないからチャンスだ。チラチラと確認しながら話す頃合いを探す。そろそろいいかな。

「…ねぇ、笠松先輩?」

「…ん?」

いつも通り、俺になんてまるで興味ないような態度で先輩は返事をした。
静かな部室で、先輩いい声だなぁ、なんて思いながら先輩をじっと見つめる。
この声はあの喉から出ているのかと思うと、触れてみたいなんて考えてしまった。

「先輩、綺麗な首してるっスね。」

「……はぁ?」

あ、間違えた。これが言いたいんじゃないだろう。
話すことを考え直してから、また言う。

「…間違えたっス。先輩は、首を絞めたこととかあるっスか?」

「…………はぁ?」

おかしい、今度はちゃんと言えたはず。

「…?…先輩?どうなんすか?」

「は?…あ。んなもんあるわけねぇだろ!」

やっとちゃんとした応えが返ってきたと思ったらいきなり叫ばれた。
こういう時、あぁ、体育会系だなと思う。声めっちゃでかい。

「まあ、無いっスよね。普通。」

軽く笑いながら言う。
先輩がキョトンとした顔で見つめる。

「…俺は、最近ハマってるんスよ。こう、力加減しながら自分の首を絞めるとね、なんかフワフワするっつーか。」

「…そりゃ、首絞めりゃフワフワするだろーよ…。」

「…いや、そうじゃなくて。
なんていうか、気持ちいいんスよ!」

俺の言葉に、先輩はぽかんとした顔でまた「はあ?」と返した。

「いや、あのね?その、好奇心というか…。決して自虐じゃないっス!!」

「十分自虐だろうよ!」

「違うっスー!!本当になんか気持ちよくてー!
あ!なんなら先輩もやってみればいいんスよ!!」

しばしの沈黙の後…、先輩は、誰がやるか!と叫んでから部室を出て行ってしまった。
きっと、先輩はやったことないから怖いのだろう。そう、自分に言い聞かせてから、俺も1人で帰り支度をするのであった。

(…先輩にも絞めてもらいたかったなぁ。)



end

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読んでいただきありがとうございます!

元々pixivに載せていた作品なのですが、こっちにも載せてみました。

可笑しな黄瀬君いいと思います!

それでは、ありがとうございました!!

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