黒バス
□可愛い後輩
1ページ/1ページ
「…ねぇ、死んでほしいんだけど……。」
突然こんな馬鹿みたいなことを言うこいつは俺の恋人で、俺を負かした敵チームの1人でもある。
こんなことを言うのはこいつにとっては愛情表現のようなものだから、本当に死んでほしいわけじゃない。……と、思う。
でも、ちょっと病んじゃってるとこもあるから…少しくらいは本気だったりもするのだろうか?
「ね、死んでよ…。宮地?」
「死なねーし、さんをつけろ…。葉山」
俺より1つ年下のこいつ、葉山小太郎はなかなか敬語を使わない。
と言うか使っているところを見たことがない。
「いーじゃん。オレらの仲でしょ?」
ほら、これだ。毎回毎回、何度怒って言い聞かせても敬語を使わない。親の顔が見てみたいってもんだ。
「てめーには人を敬うって感情が無えのか。」
「えー?尊敬ならしてるよ?宮地ドリブルすげーし、大好きだし、殺しちゃいたいぐらいには。」
「……は?」
薄々勘付いてはいたけど、1番聞きたくなかった言葉。殺したいとか…。
こいつが俺のこと大好きすぎるってことは知ってたし、俺もこいつのことが大好きだ。
けど、ヤンデレはねぇよ。ヤンデレは。
「なら、死んでほしいじゃなくて、殺しゃいいだろーが。」
「…いいの?本当に殺しちゃうかもよ?いいの?」
「…いや、まあよかねーけどよ。」
「…なーんだ。やっぱ嘘だよねー。ま、宮地が嫌なら俺からはやんないけどー。でもなー、宮地の死顔絶対綺麗だと思うんだけどなー。」
キラキラした目でチラ見してくる葉山に拳骨でも食らわせてやりたい気分になったが我慢する。
なぜなら俺は優しい先輩だから。優しい先輩だから!!
「ねー。ねーえー。宮地ぃー。」
「……。」
「えい!」
ドサッ、という音がしたと思うと、何故か背中はフローリングのような硬い冷たいものに乗ってえた。しかも、さっきまで白い壁と葉山と、それからそこらへんの小物が見えていたはずが、見えるのは葉山と白い壁?
あ、いやこれは違うな。
フローリングのようなものじゃない。フローリングだわ。
見えるのも白い壁じゃなくて天井。
つまり俺は床ドンされたってわけか。
ーーーまずいな。
そう思ったときにはもう葉山の手が俺の首をそっと撫でて、そしてゆっくり首全体に手をつけた。
まるで、今から首締めを行うかのように。
「…葉山?」
怯えるように問う俺に葉山が口を開く。
「あのね?オレ、本気なんだ。宮地は優しいから、オレのこうゆうことも全部流してくれてたんだよね。でもね、もう無理。もう限界。…気持ち悪いよね?」
すっと手に力が入る。
強烈なドリブルをするこいつ特有の手。猫のような可愛らしい顔にはあまり似合わない、ゴツゴツした男の手。
あぁ、この手だ。大好きな、とても愛おしい手。
ーーー悪くない。
キュッとより力が込められ、もう喋ることは出来ない。体に力が入らない。
ダメだ。これでは触れてやれないじゃないか。
「宮地…。ごめんね。」
やめろよ。そんな顔すんなよ。そう言って撫でてやれたらどれだけいいことか。
大きな猫目が今にも泣き出しそうなほどうるんでいる。
いつからだろうか。彼のことを敵や後輩として見なくなったのは。
いつからだろうか。彼のことを特別だと思うようになったのは。
愛おしいと思ったのは。
離したくないと思ったのは。
こいつが、おかしくなってしまったのは。
全部、俺からじゃないか?
向こうから告白されて、仕方なく。最初はそんな気持ちだった。けど、実際は俺が先に溺れてたのではないか?
なのに、俺は今までどれくらいこいつに応えてやっただろう。
何も…してないんじゃないか?
こいつがおかしくなってしまったのも、俺のせいじゃないか?
だったら、俺が全て受け止めるべきだろう。
「…宮地。あのね?」
どうした?
「…オレ、宮地のこと、どうしようもないくらい大好き。愛してる。」
あぁ、俺もだよ。
「でも、オレ、今まで宮地に何もしてあげられなかった…。」
そんなことねぇよ。
「オレは宮地からたくさん貰ってるのに。」
俺の方こそ。
「だからね、オレ、宮地に謝んなくちゃ。」
俺も謝んないとな。
俺たちはまだガキで、若すぎた。そのせいで、互いに傷つけあってしまった。歪んでしまった。
それはまるで、ゆっくりと同じように進む、けれど少しずつ狂ってしまう時計のように。
お互いを思えば思うほど壊れてしまっていた。
「…宮地、ごめんね。」
葉山、ごめんな。
目が霞む。ぼーっと可愛い顔を見つめながら瞼を閉じようとした。
「…!宮地!!」
葉山が泣きながら俺を呼ぶのを見ながら、俺はーーー、
end
ーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございました!!
駄文でごめんなさい。
宮地さんが最終的にどうなったかかは皆さんのご想像にお任せします。
ちなみに赤信号の想像では宮地さんは死んでません。
この後葉山君はどうするんですかね。
ではでは、最後に!
お願いしますm(_ _)m