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□1番好きな人
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リサ「ジョシュア、ジョシュア、ジョシュアー!!!」

ジョシュア「煩い!お前は黙る事を知らないのか!?」

リサ「あんたは喋る事が出来ないわけ!?」

ジョシュア「今、喋ってるだろう!」

リサ「読んでも返事しなかったじゃない。」

ジョシュア「俺は忙しいんだ。」

リサ「私は暇なの。」


言いたい放題にワガママ言っているリサ。
こいつは、小さい時から隣にいた。世では幼馴染と言うようだ。

だけど、俺たちはただの幼馴染ではなかった。

リサ「ねぇ、ジョシュア。私がいなくても大丈夫?」

ジョシュア「…。」

リサ「ちゃんとした生活できる?ご飯食べて、寝て…そんな生活してくれる?」

ジョシュア「あぁ。」


俺たちは兄妹だったんだ。
リサはその事を知らないだろう。俺だって知ったのは本当に最近の事だ。

原因は不倫だった。

父上の秘書だった女が不倫相手だったようだ。

そんな事知らないまま、今日まで過ごした。

残酷すぎる。
せめて、言ってくれればこんな気持ちにはならなかった。


リサ「…ジョシュア。私、ジョシュアが1番好きだった。」

ジョシュア「リサ…」

リサ「おっかしいな…ジョシュアと結婚して、幸せになるつもりだったのにな…」

ジョシュア「…。」

リサ「ごめん、ジョシュアは私の事、そんな風に思ったことないもんね。」


困ったように笑う彼女。
言いたい言葉はもう出てる。
だけど、

結婚すると決まったリサにそんな事言って、どうすると言うのだろう。

リサ「まぁ、ジョシュアなんかよりもいい人だし、幸せになって見せるんだから…」

ジョシュア「リサ…」

リサ「ジョシュアの馬鹿野郎!好きじゃないなら、好きじゃないって言ってよ!」


それでも何も言わない俺を見て彼女は俺の部屋を出て行った。

王子である事を呪った事もあったが、それ以上に何も言ってやれない自分を呪った。

こんな時、どんな言葉をかけてやればいい。

愛すること、大切に思う事。
全て教えてくれたのはリサなのに。

山積みになっている資料。
目に通さないといけないが、通せない。


ジョシュア「はぁ…」


深い溜息を吐く。

だけど何もできないまま。

リサがこの城を出て行く前夜となってしまった。


リサ「ジョシュア…」

そんな声が聞こえ、扉を開ける。

ジョシュア「リサ…」

リサ「…ごめんね。」


不意に謝るリサ。


ジョシュア「なんでお前が謝るんだ。むしろ、謝るのは俺のーー」

リサ「ううん、私だよ。」


泣きそうな表情だったリサはとうとう涙を零した。


リサ「…兄妹だったんだね。私達。」

ジョシュア「なんでそれを…」

リサ「王様にね、言ったの。私はジョシュアが好きだから…結婚したくない。って…
王様、謝ってた…ごめん、リサ。って…」

ジョシュア「…。」

リサ「兄妹じゃ…結婚出来るわけないよね。ジョシュアは優しいから…ずっと悩んでたんでしょ?どう言ったら、私を傷つけずに済むのかって。」

ジョシュア「だが、結果傷つけてしまった。」


幾度なく溢れては零れる涙をジョシュアはぬぐってやった。


リサ「本当に…優しいね。ジョシュア。好きだったよ。大好きだった。」

ジョシュア「…俺もだよ。」


そっとおでこにキスするとリサは笑って言った。


リサ「生まれ変わったら…次は恋人になろうね。」

*
*
*
*

それから月日が経ちいつも隣にいたリサはもういなくなっていた。

といっても、よく遊びに来るが…

幸せだと。そう言って笑っていた。

そして帰り際に必ずこう言うようになった。


リサ「ジョシュア、早く幸せになってね。」


そう言うようになったリサを見て、そろそろ歩き出さないといけないなと思った。


ジョシュア「踊っていただけますか…?」


end
 

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