novel
□陽だまり5
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油断をしていた訳じゃない。
乱暴に捕まえられた訳じゃない。
「こいつと、火影、そしてお前の息子の命が惜しければこちらへ来い!」
任務が無事終わり、里への帰還中だった。仲間の1人が人質に盗賊に脅されたのだった。
「わかったから。先にその子を返して頂戴。言っとくけど、私は嘘をつくつもりもないし、抵抗するつもりもないわ。
けれど、その子を素直に返してくれないならそれ相応のことはやるわよ。」
一応、自分の名は知れていると自負している。威圧と私の噂からか、盗賊は素直に仲間をこちらに返した。
そして私は捕まった。
「お前に乱暴するつもりはない。ただ火影と取引がしてぇだけだ。」
盗賊の長である男はそう言って飲み物を差し出した。男は盗賊と言えども、整った顔立ちで全く盗賊らしくなかった。
一応疑ってみたが何も入ってないようだ。
「大丈夫だよ。なにも入れちゃいねぇ。…すまないな。」
男が謝ってきたことに驚く。悪い人ではないのかもしれない。
「どうして、こんなことを?」
素直に思ったことをきいてみた。
男は目を瞑ると、ぽつりと語り出した。